旅客機エンジンを停止させようとした米パイロット、マジックマッシュルームを摂取していたことが明らかに

非番で操縦室に座っていたパイロットは、「夢を見ているのだと思った」とも話しているという
アラスカ航空傘下のホライゾン航空機(2018年8月13日撮影)
アラスカ航空傘下のホライゾン航空機(2018年8月13日撮影)
via Associated Press

飛行中の旅客機エンジンを停止させようとした米アラスカ航空のパイロットが、幻覚作用のあるマジックマッシュルームを摂取していたことがわかった。

ジョセフ・デビッド・エマーソン容疑者は10月22日、アラスカ航空傘下のホライゾン航空が運航するワシントン州エバレット発カリフォルニア州サンフランシスコ行き旅客機に、非番パイロットとして搭乗した

同容疑者は「ジャンプシート」と呼ばれる操縦室補助席に座っていた時に、エンジンへの燃料供給を停止させる非常用レバーを突然引こうとしたと報じられている。

24日に公開された起訴状によると、操縦室にいた別の2人のパイロットは、エマーソン容疑者がエンジン停止を試みる前に「『私は大丈夫じゃない』と言った」とFBIの捜査で話している。

パイロットの1人が、エマーソン容疑者をつかんでエンジンへの燃料供給停止を防ぎ、もう1人が機内に緊急事態を宣言したという。

エマーソン容疑者は、緊急着陸したオレゴン州で身柄を拘束され、殺人未遂や危険行為などの疑いで起訴された。

裁判所に出廷したジョセフ・デビッド・エマーソン容疑者(2023年10月24日)
裁判所に出廷したジョセフ・デビッド・エマーソン容疑者(2023年10月24日)
via Associated Press

起訴状には「レバーが完全に引かれていたら、飛行機は数秒のうちに滑空状態(エンジンを停止して降下すること)になっていただろう」と書かれている。

パイロットらは、エマーソン容疑者は最初は落ち着いて見えたと捜査に話している。

エマーソン容疑者は操縦室から出るよう命じられた後、静かに歩いて機内の後方に移動し、客室乗務員たちに自分を拘束するよう要求したという。その際に「今すぐ私に手錠をかけないと大変なことになる」と客室乗務員に言ったとされる。

起訴状によると、エマーソン容疑者は両手を縛られて後方の席に座らされたものの、オレゴン州ポートランドに緊急着陸するため飛行機が降下した時に非常口のドアレバーをつかもうとしため客室乗務員に制止された。

客室乗務員は、エマーソン容疑者が 「自分がすべてを台無しにした」「みんなを殺そうとした」と話したのを聞いたという。

エマーソン容疑者は、ポートランドで警察官に「ノイローゼで40時間寝ていない」と伝え、脱水症状や疲労、体調不良を訴えたとされる。

エマーソン容疑者は身柄を拘束された後に「私には大丈夫だとは思えなかった。パイロットは起こっていることに注意を払っていないように思えた。彼らが......正しいように見えなかった」「夢を見ているのだと思い、両方の緊急停止レバーを引いた。目を覚ましたかった」と説明しているという。

また、エマーソン容疑者は薬の使用は否定しているものの、マジックマッシュルームを摂取したと話したという。ただし、起訴状ではいつ摂取したのかは明らかにされていない。

起訴状によると、エマーソン容疑者は6カ月前にうつ病になり、治療でマジック・マッシュルームを使用したと警察に伝えている。

オレゴン州では2020年、複数のマジックマッシュルームに含まれる幻覚成分「シロシビン」の使用が、専門家の管理下で合法化された。

エマーソン容疑者は、マジックマッシュルームを摂取するのは初めてだったという。

エマーソン容疑者に対する薬物検査が実施されたかをハフポストUS版がオレゴン地区連邦検事局に問い合わせているが、まだ回答はない。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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