空の高さや空気の爽やかさが秋らしくなってきました。ところが過ごしやすいはずの気候なのに、だるい、やる気がしないなど“秋バテ”状態になってはいないでしょうか。
「今秋は残暑が続いた後に気温が急降下したので、体が気温の落差についていけないのでしょう。1日の気温差が大きいことから、自律神経失調症に近い状態になっていることも」と、源保堂鍼灸院(東京都渋谷区)の瀬戸郁保先生は言います。早めに秋バテ対策のツボを使って解消しましょう。
秋バテの原因と対策
スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋、と秋を思い切り楽しみたいもの。しかし、秋は気温や湿度などの変化が多く、体調を崩してしまう人が珍しくありません。
「季節の変わり目ということもありますが、空気の乾燥が始まっているなど様々な要因が重なりあって、秋バテの人が増えているようです。秋バテの主な原因をまとめると次の4つになり、それぞれ体調の整え方が異なります。それぞれに使えるツボを紹介しましょう」(瀬戸先生)
(1)夏の疲れの名残り→呼吸器系、心肺機能を調整する
(2)1日の寒暖差→自律神経を調整する
(3)乾燥の始まり→粘膜・皮膚などの乾燥、皮膚表面を調整する
(4)気分の落ち込み→気分を上げるよう調整する
秋バテ対策に、自律神経の乱れを整えるツボ4選
秋バテ対策によい4つのツボをご紹介します。どれも気持ちがよいくらいの圧で、3〜5秒くらい押します。少し休んで3〜5回を繰り返すのが1セットです。朝昼晩のいつ行ってもOKです。
▼大陵(だいりょう)
夏の疲れの名残りに効くツボで、手のひらを上にして、手首の曲がりジワの真ん中にあります。
「気温は下がってきているのに、体はまだほてっているような気だるさが続いている人は、夏の疲れを秋に持ち越してしまっているのです。大陵を使って、心肺機能を助けて体のほてりやだるさを整えていきます」(瀬戸先生)
▼天柱(てんちゅう)
1日の寒暖差対策にオススメのツボで、うなじの生え際にある2本の太い筋肉(僧帽筋・そうぼうきん)のくぼみにある。
「気温などの変化には自律神経が対応しています。特に温度調整に関係するのが脳の視床下部です。ここには脳の疲れを取るようなツボ・天柱が有効です。
天柱のあたりは、重い頭を支えている部位であり、ストレスなども加わって固くなりやすいので、ゆるめてあげるのが大切なのです。また、精神的なストレスにより脳全体の機能も落ちるので、リラックスして過ごすことも大事です」(瀬戸先生)
▼合谷(ごうこく)
粘膜など、皮膚表面をケアするためには合谷を押すと良いそうです。手の甲の親指と人差し指の骨が交差するあたりのくぼみにあります。
「近年腸内環境と皮膚や免疫力との関係が注目されているように、東洋医学では古くから大腸と皮膚の粘膜には深い関係があると考えます。皮膚の乾燥は免疫力を弱らせ、かぜやインフルエンザ感染にもつながりかねません。
ローションを塗っても皮膚がガサガサする、目などの粘膜の乾燥、便秘やコロコロ便になる場合は、乾燥している状態なので合谷を使ってみてください。合谷は疲労回復にも使いやすいツボです」(瀬戸先生)
▼立命(りつめい)
気分の落ち込み対策のツボで、鼻の左右の鼻翼の下にあります。
「秋の景色を見て物悲しくなったり、気分の落ち込みを感じたら要注意です。秋は、陽のエネルギーがピークになる夏と比べて、陰のエネルギーが優勢になってきます。ですから、気分が少し静かになるのは普通のことですが、猛暑の後の秋の涼しさは落差が激しく、気分の落ち込みに拍車がかかっているようです。
それを解消しようとSNSに時間を取られたり、起床や就寝などの生活リズムが崩れるといけません。立命を使って自立神経のリセットをしましょう」(瀬戸先生)
秋は、気分の落ち込みやちょっとした不調が珍しくありませんが、「季節のせい」だと知っておくことも大切だといいます。
「秋の不調は初期であれば、ツボやセルフケアで対処できるものが多いです。こまめに自分の体を見つめて、ツボ押しを実践しましょう。
急な冷えで血流が悪くなり、筋肉がこわばったり、つりやすくなっています。ストレッチや入浴で体を温めるなど、血流を保持することも忘れずに」(瀬戸先生)
秋が深まってくるとますます体調管理が難しくなります。ちょっとした不調は、軽いうちに対処して元気に過ごせるようにしていきましょう。
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