「大半の教員に十分な給与が支払われている」
日本でそう認識する人の割合は、29カ国中4番目に低い――。
そんな調査結果を世界最大規模の世論調査会社、イプソス(東京)が9月に発表した。
同社は6〜7月、各国の教育についての世論調査をインターネット上で実施。調査対象は世界29カ国の2万3248人、日本では16歳~74歳の約2000人だった。
「あなたの国では、大半の教員に十分な給与が支払われている」という項目に「そう思う」と答えた人は、日本では31%にとどまった。
アルゼンチン、ハンガリー、チリに次いで29カ国中、4番目の低さ。世界各国の平均(46%)よりも15ポイント低く、ブラジルと同率だった。
同社は「(日本の回答者の)半数以上が(教員の給与が)十分ではないと考えているとわかった」と指摘している。
日本の教員の給与をめぐっては、経済協力開発機構(OECD)の2023年の報告書でも、加盟国の平均を下回っていることが明らかになっている。
日本では、1971年に制定された「給特法」により、教員に残業代を支給しないことになっている。代わりに、教員に対して月給の4%を「教職調整額」として一律に上乗せしている。
残業時間に見合った残業代が支払われない実態は、「定額働かせ放題」などと揶揄されてきた。
イプソスの調査で「自分の子どもや知り合いの若者に、教員になるよう勧めたい」という項目に「そう思う」と答えた人の割合は、日本では19%だった。各国平均の43%を24ポイント下回り、29カ国中ワースト2位の低さとなった。
イプソスの内田俊一社長は調査結果について「深刻な教員のなり手不足の状況が如実に表れた」との認識を示した。その上で、「国の施策により、教員不足の解消などが早急に推進されていくことを期待する」と話している。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉