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報道によると、10月17日、滋賀県東近江市長・小椋正清氏が不登校対策についての会議内で以下のような発言をしました。
「文科省がフリースクールの存在を認めてしまったということに愕然としている」
「フリースクールがあるんだったらそっちの方に僕も行きたいっていうなだれ現象が起こるんじゃないかって、非常に私はその怖さを1つは感じています」
また、同会議後にマスコミの取材に対して「不登校は大半は親の責任。財政支援を国が言うべきではない」とも発言しました。
これに対し18日、滋賀県近江八幡市の「フリースクールSince」は小椋市長に発言の撤回と不登校関係者との協議を求めるオンライン署名活動を開始。半日で1500名を超える署名が集まっています。
フリースクールSinceのオンライン署名
保護者のみなさん、大丈夫です
正直なところ、「まだこんなことを言っている人がいるんだ」というのが最初の感想でした。不登校の子どもと親がどれだけの孤独と苦しみのなか、日々を生きているのかを知っている者からすると、やりきれない気持ちです。
ここで断言させてください。不登校はほとんどの場合「親の責任」ではありません。ここで「ほとんど」と言ったのは、親のネグレクトなどの虐待によって不登校になっているケースが、一部あるからです。
しかし、『不登校新聞』を読んでくださっている保護者の方、また相談をお寄せくださっている保護者の方は、みなさん子どもの幸せを心から願い、子どもの現状を心配してくださっています。
不登校については、ここ10年でずいぶん理解が進んできました。不登校経験者を受け入れる通信制高校やチャレンジスクールの増加や、2016年の「教育機会確保法」制定などもあり、「辛いなら、学校へ行かなくてもいいのではないか」という思いの方が増えてきたかと思います。
しかし、実際に不登校になった子どもや、自分の子どもが不登校になった親の苦しみは、10年前、20年前から変わっていません。
子どもが学校へ行かなくなると「ママ友」コミュニティからは離れざるを得ず、1人で情報を求めなくてはなりません。パートナーや親族の理解が得られないこともめずらしくありません。ふさぎこんだ子どもを見て「やっぱり育て方が悪かったんじゃないか」「なにか私に原因があったんじゃないか」と考える親御さんは少なくないのです。
そんななか、小椋市長のこのような発言は傷口に塩を塗ることになりかねません。私は、親御さんの多くが孤独と将来の不安のなか、それでも子どもの幸せを最優先にと、必死の思いで「学校、休んでいいよ」と伝えていることを知っています。
ですから安心してください。みなさんは「お子さんの不登校の原因」ではありません。むしろお子さんの命を守るために、たくさんの不安を抱えながらもお子さんに「休んでいい」と言った、その勇気に敬意を表します。これからもともにお子さんの幸せのために、できることを考えていきましょう。
(『不登校新聞』編集長・茂手木りょうが)
(2023年10月19日の不登校新聞掲載記事「『不登校は親の責任』ではありません【全文公開】」より転載しました)