生存率4割という重篤な心臓疾患を赤ちゃん時代に一緒に乗り越えた2人が、20年の時をへて同じ大学で学ぶルームメートになった。
アメリカ・テキサス州のテレビ局NBCダラス・フォートワースやABCの朝の番組「グッド・モーニング・アメリカ(GMA)」が、2人の闘病の様子や大学で打ち込んでいることなどについて取り上げている。
2人は同州に住むテイト・ルイスさんとセス・リッペントロップさん。2002年に数週間違いで生まれ、どちらも左心低形成症候群(心臓の左側がうまく形成されない先天性疾患)と診断され、ただちに治療をしなければ命を落とすほどの危険な状態にあった。
国立循環器病研究センターはこの疾患について、「胎児超音波検査で診断されることも増えつつあるが、多くは胎児の成長は正常なため見つかりにくい」とし、「出生後の心臓超音波検査で診断がつく」と説明している。
地元テレビ局によると、ルイスさんとリッペントロップさんは共に心臓の右側を再建するための手術と治療を耐え抜いた。ルイスさんは脳卒中で片方の声帯が麻痺したこともあり、5度の手術を受けた。リッペントロップさんは3度の大手術を乗り越えた。
夏には心臓に疾患のある子どもでも安心して遊べる環境が整ったキャンプに参加し、一緒に遊んだ。
困難を乗り越えた2人はいま、テキサス大学ダラス校の3年生になった。ルームメートとして共に暮らし、同じキャンパスで学んでいる。
リッペントロップさんはGMAの取材に「心臓が半分しかない子どもだと自分でわかっていました。どこか他の人と違うんだって思っていました」と闘病生活を振り返った。
ルイスさんは大学のゴルフチームに所属し、プレーを楽しんでいる。リッペントロップさんは天体物理学に夢中だ。勉強ができ、優秀な成績を修めた学生一覧に名前が記載されるほどだ。
この先も油断ができず、生きていることが当たりとは思っていない2人だからこそ将来については前向きだという。リッペントロップさんは「これまでに苦難に打ち勝ってきたという経験が、私たちを後押ししてくれます」と語っている。
ルイスさんのメッセージも力強い。「ただここにいることが幸せで、未来にわくわくしながら毎日を生きています。これからどうなってしまうんだろうと心配している人には、あなたができることを制限するものなんてないことを知ってもらいたいです」。