ようやく秋の気配が感じられるようになってきました。季節が進むと気温の変化や空気の乾燥など肌への負担が増して、トラブルが起きやすくなります。肌のために今からしておきたいことを皮膚科専門医に教えていただきましょう。
本格的な秋を前に肌を整えよう
今夏は記録的な猛暑となり、紫外線や汗、高温多湿環境など肌にとっても厳しいものでした。野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子先生は、「9月も暑さが残ったことから、肌にもダメージが残っていて、秋の空気の乾燥、急な冷えなどによってトラブルとなるのが心配」と言います。
「環境の変化に肌がついていけないと、肌のターンオーバー(代謝)も乱れがちになります。肌の生まれ変わりがスムーズにいかなくなることで、肌のカサつきやゴワつきが生じたり、肌のバリア機能低下につながったりします」(野村先生)
そうなる前に肌を正常な状態に整えていきましょう。
乾燥時期の肌トラブルに備えるための5つの習慣
肌にとって厳しい環境になる秋冬に向けて、今からすべき5つのことがあります。
(1)秋花粉の対策
ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどで秋の花粉症が起きることは知られていますが、実はスギも飛び始めます。気づかないまま肌トラブルに悩む人も多くいます。
「秋の肌トラブルの原因で意外に見落とされがちなのが、秋花粉です。花粉が肌に付着すると、アレルギー反応により炎症が起きたり、かゆみが生じたり、肌が荒れやすくなってしまいます。
帰宅後はなるべく早く入浴して花粉を洗い流すのが大切です。難しければ洗顔だけでも、先に行いましょう。また、風が強い日は洗濯物を室内干しにするなど、花粉対策も必要です」(野村先生)
(2)シャワー習慣の見直し
夏の間、入浴をシャワーだけだったり、短時間でさっと済ませるクセがついてはいないでしょうか。
「短時間で済ませようとゴシゴシ洗いになっていたり、強めのシャワーを当てている場合は注意が必要です。気温が低くなってきているためシャワーで温まろうと湯温を高めにしがちで、肌トラブルの元になります。できれば湯船に浸かりましょう。
顔や体を洗うときは、洗顔料や石けんはクリーミーに泡立てて、優しく肌をなでるように洗います。シャワーは、弱めの水流で円を描くようにサーっと流します」(野村先生)
(3)秋に合わせた保湿ケア
夏のスキンケア用品をそのまま使ってはいないでしょうか。
「洗顔や入浴の後は、化粧水などで保湿ケアをすることが基本です。秋で気温や湿度などが変わってきているので、肌の状態に合わせてスキンケア用品の使い方を見直しましょう。乾燥を感じるようなら、乳液・クリームなどで保湿をしっかり行います」(野村先生)
(4)食事・生活リズムを整える
きれいな肌は健康あってこそ。食事や生活リズムなどがそのベースとなります。
「肌のターンオーバーで必要なたんぱく質やビタミンの補給のためにも、バランスのよい食事を心がけましょう。軽い運動や十分な睡眠など生活リズムを整え、ストレスを溜めないようにします。
食欲の秋、秋の夜長には気をつけてください。食べ過ぎたり、夜更かししがちです。旬の野菜や果物はビタミンやミネラルも豊富ですが、バランスよくとることが大切です。睡眠不足が肌の大敵であることは言うまでもありません」(野村先生)
(5)秋の紫外線対策
陽射しがキツくなくなったからといって、紫外線対策を怠ってはいないでしょうか。
「紫外線は1年中地上に降り注いでいるので紫外線対策は必要です。紫外線による刺激は、シミ・シワなどの皮膚老化や皮膚ガンなどの要因一つとなります。
秋は肌が乾燥しやすいので、保湿をしっかり行った後に使用するのがポイントです。肌の調子が悪いときは、比較的負担になりにくい紫外線散乱剤を使ったもの(紫外線吸収剤を使ってないもの)を選ぶとよいでしょう」(野村先生)
肌は健康のバロメーターだといいます。過ごしやすい秋のうちにスキンケアを見直して、乾燥が進む秋冬に備えましょう。
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