ただ、エアコン掃除には注意すべきこともあるといいます。家電メーカー大手・パナソニックのエアーマイスター福田風子さんに詳しく教えていただきます。
(1)運転したまま掃除しない
エアコン運転中に、吹き出し口の汚れが気になることはないでしょうか。
「運転中に掃除するのはとても危険です。吹き出し口のすぐ奥では、ファンが高速回転して送風しています。ブラシなどを入れると破損してしまいます。
掃除をするときは、取扱説明書を確認し、『お掃除用』のモードでフラップを開いた状態にできます。誤って運転しないよう、必ず電源プラグを抜いてから掃除してください」(福田さん)
(2)「自動お掃除機能」にすべておまかせしない
「自動お掃除機能があるから、掃除は必要ない」と思い込むのも、してはいけないことのひとつです。
「フィルター自動お掃除付きでも油汚れが多い場所で使うと油汚れがつくこともあります。キッチン・リビング一体型の住居では、調理中に油を含んだ空気が流れます。調査ではリビングで使用しているホコリに30%ほどの油分が含まれていました。タバコのヤニがつくことがあり、こうした汚れがひどい場合には洗浄が必要になります。
また、ダストボックスタイプの自動お掃除ではダストボックスのゴミ捨てが必要です」(福田さん)
(3)フィルターを熱風や直射日光で乾かさない
エアフィルターを掃除するときにもやりがちなNG項目があります。
「ホコリなどは掃除機で取り除き、油汚れなどは水かぬるま湯で薄めた中性洗剤で洗います。洗うときには汚れ落ちがよいからといって、熱湯を使わないようにしてください。洗浄後はきちんと乾かします。ただし、ドライヤーの熱風や直射日光に当てるのはよくありません。
エアフィルターは素材によっては強い洗剤や熱で変形やコーティング剤が劣化してしまう可能性もあります。洗ったあとは、風通しのよい場所で陰干ししてください」(福田さん)
(4)エアフィルターの奥には触らない
エアフィルターを外した奥も、汚れが見えると掃除機で吸ったり歯ブラシでこすりたくなりますが、これも間違いです。
「エアフィルター奥のアルミフィンはごく薄い金属板なので、触ると曲がったり、手を怪我するおそれがあります。熱交換器という部品で、中には『冷媒』というガスが流れています。スプレーなどによって、この熱交換器の金属が劣化したり、内部の電装部品や金属部分に水滴が付着すると、故障や漏電、最悪では発火のおそれもあります。
エアコン内部で掃除できるのは、エアフィルターと前面パネルやフラップ、ルーバーなどで、掃除の前に必ず取扱説明書で確認してください。掃除するときは水を含ませて固く絞った柔らかい布などでふいてください。
アルミフィン部分の汚れが気になるときは、高い専門知識が必要になるので、プロにおまかせしましょう」(福田さん)
暖房運転で内部を乾燥!?
カビは生えてしまうと自分で取り除くのは難しいので、そもそもエアコンにカビを発生させないことが大切です。
「栄養源と湿気を減らせば、カビ発生リスクが下げられます。フィルターなどこまめに掃除することで栄養源を減らせます。また、冷房・除湿運転では結露による水滴が発生するため、湿気を無くすことが最も重要です。エアコンの『内部クリーン』運転など自動で乾燥できる仕組みもあります」(福田さん)
おうち時間が増えたことから、エアコンを使う時間が長くなっている家庭も多いでしょう。長期間使用しなくなる前に、しっかり乾燥させておきましょう。
「内部クリーン機能が搭載されていないエアコンでも、除湿・冷房の使用後に3~4時間の送風運転をすることで内部は乾燥し、カビ対策ができます。
もっと短時間で、という場合は暖房運転をするという手段があります。暖房の場合は30分程度で内部を乾燥させることができますが、いくつか注意点があります。
まず、室温が上昇するので人が不在のときに使用しましょう。また、室温が高い夏でも暖房運転ができるように設定温度は30℃程度(暖房の設定温度上限くらい)にするといいでしょう」(福田さん)
猛残暑が落ち着いたとはいえ、まだエアコンを使うタイミングはありそうですが、運転を止めたタイミングでしっかりお手入れしておきましょう。
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