アカデミー賞などの演技賞を「女優賞」や「男優賞」のように、性別でわけないでほしい――広がる声に、俳優のエリオット・ペイジさんも賛同した。
ペイジさん、9月12日に公開されたエンターテイメント・ウィークリーのインタビューで、性別による賞のカテゴリーわけ廃止について聞かれ、「良いアイデアだと思う」「二元論で考えることを超えて進むことを期待しています」と述べた。
広がる「性別でのカテゴリーわけ」廃止
近年、「主演女優賞」や「主演男優賞」のように演技のカテゴリーを女性と男性でわけないよう求める声が高まっている。
女性と男性の2つでわけることで、ノンバイナリーやジェンダー・ノンコンフォーミングの俳優が排除されるという問題が生じる。
これまでに、MTVムービー&TVアワード、ゴッサム・アワード、英国インディペンデント映画賞、インディペンデント・スピリット賞などが、性別に基づくカテゴリーわけを廃止している。
インディペンデント・スピリット賞を主催するフィルム・インディペンデントのジョシュ・ウェルシュ会長は2022年、性別に基づくカテゴリーの廃止を発表した際に「男性か女性の選択を強制せずに、ノンバイナリーの俳優をスピリット賞に迎えることができ嬉しく思う」と述べている。
その一方で、アカデミー賞やエミー賞などの大きな賞では、いまだに男性と女性の演技カテゴリーが残っている。
また、一般的に性別に基づくカテゴリーがあるのは俳優やパフォーマーのみで、技術者を対象にした賞では存在しない。
「私の居場所はない」ノミネートを辞退する俳優も
ノンバイナリーの俳優たちは、性別に基づくカテゴリーわけが、排除や性別の選択強制になると訴えてきた。
『イエロー・ジャケッツ』に出演するリヴ・ヒューソンさんや『ビリオンズ』のエイジア・ケイト・ディロンさんのように、賞が性別でわけられていることを理由に、ノミネートを辞退した人たちもいる。
ヒューソンさんは「演技カテゴリーに私の居場所はありません」と、2023年4月のVarietyのインタビューで語っている。
「女優として応募するのは不正確ですし、男性たちと一緒に扱われるのはおかしい。それははっきりしており、私は応募できません。なぜなら自分の居場所がないからです」
2017年からテレビドラマシリーズ『ビリオンズ』に出演するディロンさんは、エミー賞の主催者に、演技賞を性別でわけることを考え直すように求めてきた。
Varietyによると、ディロンさんは2017年に「アクター(俳優)」という言葉の起源を調べ、性別に関係なくすべての人々に適用されるものであることを突き止めた。
その上で、エミー賞を主催するテレビ芸術科学アカデミーに手紙を書き「性別に基づいて賞をわける必要があるのだろうか」と問いかけた。
このディロンさんの訴えに、テレビ芸術科学アカデミーは、俳優は男優賞でも女優賞でも自分が希望するカテゴリーを選べると伝えた。
望むカテゴリーを選択できることは一歩前進ではあったが、ディロンさんらはこの対応が性別二元性が完全に排除するものではなく、ノンバイナリーの俳優に自分の性自認に沿わないカテゴリーの選択を強制しているとして、より会話を広げてほしいと願っている。
また、2023年のトニー賞では、ノンバイナリーのアレックス・ニューウェルさんとJ. ハリソン・ジーさんが、それぞれミュージカル助演男優賞とミュージカル主演男優賞を授賞した。
この時の賞のノミネートについてニューウェルさんは「私たちは、他の職業を性別でわけません」とNPRとのインタビューで語っている。
「私たちは医者に診てもらう、歯医者に行く、水道業者に来てもらう、と言います」
ニューウェルさんは、トニー賞のミュージカル助演男優賞(アクター)のカテゴリーを選んだ理由について「アクターという言葉には性の区別がないから」と説明。「それは私の職業、天職。私は俳優なのです」と語っている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。