私たちが日々使っている外来語やカタカナ語。すっかり定着した言葉もあれば、実はよく分からずに使っているという単語もあるでしょう。
外来語を他の言葉で言い換えたいときは、国立国語研究所の「外来語言い換え提案」が参考になります。
「外来語言い換え提案」は、公共の場などで使われる少し分かりにくい外来語について、言葉遣いを工夫して分かりやすい言い換えを提案するもの。国立国語研究所の外来語委員会が2003〜2006年、計4回発表し、一覧にまとめました。
20年前の提案なので、一覧の中には、現在は定着している外来語もあるかもしれません。
「アクセシビリティー」。この言葉の意味や、「日本語」で言い換えたら何というか知っていますか?
それでは見ていきましょう。
♢言い換え語
利用しやすさ
♢用例
情報機器に対するアクセシビリティー(利用しやすさ)を保証することは,いまや世界的に基本的人権の一つとして考えられている。
♢意味説明
情報やサービスなどが,高齢者や障害者も含めてどんな人にも利用しやすいこと。
♢
手引きには、「情報通信機器を通して提供される情報やサービスについて使われる場合が多い」とされています。
文脈によっては「使いやすさ」「接続しやすさ」「近づきやすさ」などの言葉に言い換えることも可能です。また、「利便性」という漢語で言い換えることが適切になる場合もあります。「情報やサービスの利用しやすさ」「どんな人にも利用しやすいこと」など、詳しく説明する方が分かりやすい場合も多い言葉とされています。
「アクセシビリティー」が意味する「利用しやすさ」という言葉には、「便利に利用できるように工夫された使い勝手の良さではなく、どんな人でも利用できるように工夫された利用しやすさのことである」と説明しています。また、概念を正確に伝えたい場合は、言い換えるよりも説明を付けて用いることが望ましいといいます。
高齢者や障害者に利用しやすい環境を整備していこうという方向は、「バリアフリー」(障壁なし・障壁除去)、「ユニバーサルデザイン」(万人向け設計)、「ノーマライゼーション」(等しく生きる社会の実現・等生化)などの外来語で表されます。これらの概念を定着させるためにも、分かりやすく言い換えたり説明を付けたりする必要性は高いとされています。
交通手段が整っていて、交通が便利な状態を指して使われる場合には、「交通利便性」「交通の便の良さ」などと言い換えることができます。