ジャニーズ事務所が9月7日に開いた記者会見で、新社長として出席した東山紀之氏が、事務所所属タレントが報道番組などでキャスターを務めることの是非を問われる場面があった。
東山氏は「もちろん弊害もあった」と述べた上で、「僕らがやる(出演する)ことで、少しでも政治や世の中のことを分かってもらうことが一番の近道なのかなという思いも非常に強くある」という見解を述べた。
東山氏自身、テレビ朝日のニュース番組『サンデーLIVE!!』でキャスターを務めていたが、新社長就任に伴って9月3日の放送をもって降板している。
自社の不祥事や問題について話せないという現状を指摘され
弁護士ドットコムニュースの記者はまず、ジャニー喜多川氏による性加害問題について「報道番組やニュースを扱う情報番組にキャスターの立場で出演しているジャニーズのタレントが(自社の不祥事や問題については)話せない」という状況について指摘した。
その上で、新社長に就任した東山氏に対し、「こうした状況の中で『後輩に待ってもらった』という発言をされたと思うんですけど、『待ってもらった』というものが一体どういう行動を指すのかということを改めて教えていただきたい」と質問した。
東山氏は5月、故・ジャニー喜多川氏による性加害問題について、所属事務所のタレントを代表する形で自身の担当番組でコメント。「この件に関してましては、最年長の私が最初に口を開くべきだと思い、後輩たちには極力待ってもらいました」などと発言していた。
記者の質問に対し、東山氏は次のように話した。
「待ってもらった…ちょっと誤解を生んだ僕の発言が良くなかったと思うんですけど、あの当時まだ、(同問題について)よく分からないまま報道を聞いた人たち(所属タレント)がいまして、後輩の10代・20代のタレントのところにも、ずいぶん直撃が行ったらしいんですね。それを考えた時に、やはり若い子たちの言葉が先走るのはいけないなと思っておりまして、まず僕は『(コメントするのを)待って欲しい』というのは、確かに言いました」
「弊害もあったとは思うんですけど...」
続けて、記者が「(先ほどの質問に)これに関連して、ジャニーズのタレントがキャスターとしてニュースや報道番組に出演することについて、おそらく考えてこられたと思うので、そこについても考えをお聞かせください」と質問した。
東山氏はこの記者会見で、9月3日の放送をもってキャスターを務めていたテレビ朝日の『サンデーLIVE!!』を降板したことを合わせて発表。新社長就任に伴う対応だったと明かしていた。同氏は、ジャニーズ事務所の所属タレントの年長者として、キャスターの仕事もこなしてきた。
東山氏は質問に対し、「今、若い人たちの80%くらいはニュースを見ない」と切り出し、次のように考えを述べた。
「新聞も読む人は少なくなっている、雑誌も読む人は少なくなっている、そういった中で、やはり僕らがやる(出演する)ことによって、少しでも政治であるとか、世の中のことを分かってもらうことが一番の近道なのかなという思いも非常に強くありまして、キャスターのお仕事を頂いた時にやることにしたわけです」
自身がキャスターの仕事を引き受けた際の考えをこう示した上で、さらに次のように続けた。
「メディアの方たちも、まずニュースを見てもらう、そして感じてもらう、スポーツがいかに素晴らしいのか、世の中で起こっていることはどういうことなのか分かる、見てもらう一歩として僕らがキャスティングしていただいたと思うので、そこはやっぱり全力でやっていきたいなとも思います」
X(旧Twitter)などでは、ジャニーズのタレントがキャスターを務めることについてさまざまな意見がある。「ニュースを扱う番組キャスターをやるのであれば、自社の問題(や不祥事)に関しても逃げずにしっかりとコメントをしてほしい」「ジャニーズのタレントを起用しているから、その問題は掘り下げませんというのは違和感がある」などといった声だ。
東山氏は質問への回答で、「弊害も勿論あったとは思うんですけど」とした上で、以下のように考えを述べた。
「やはり何かをしなければ物事は始まらないなといつも思っていましたので、あの時(キャスター就任時)もずいぶん反対はされましたけど、まずはやってみようという思いでやりました。なのでみんな責任を持ってやってますし、みんなが頑張るとその熱というものがやはり色んなところに伝わると思いますので、そういった意味では、キャスターをやるというのはダメなことではないかなとも思っています」
9月7日に開かれた記者会見に出席した藤島ジュリー景子氏は、代表取締役社長を引責辞任したことを発表した上で、「(過去に)故・ジャニー喜多川による性加害はあったと認識している」として加害行為があった事実を認め、謝罪した。
◆性暴力について相談できる窓口
ワンストップセンター、性犯罪・性暴力に関する相談窓口の全国共通短縮番号
#8891
警察庁の性犯罪被害相談電話全国共通番号
#8103
内閣府「性暴力に関するSNS相談支援促進調査研究事業」 Curetime
時間:24時間365日
方法:17〜21時は待機している相談員がチャットで対応。それ以外の時間はメールで相談可能。外国語での相談も受け付けている。
相談機関では性暴力専門の相談員が対応している。状況や本人の意思を踏まえて対応を考える。相談員が本人とともに警察へ行く場合もある。
◆衣服と身体を洗わない
性被害にあった証拠を採取するために、重要となるポイントがある。
1. 被害に遭った時の衣服を洗わない
2. 身体を洗わない
薬物の使用が疑われる場合は、尿検査や血液検査をする必要がある。
なるべく早く警察やワンストップセンターに相談することが大切だ。