オーストラリアにあるロックハンプトン動物園で飼われている子どものチンパンジーが猛毒を持つヘビに噛まれた。
動物園が、獣医による治療から戻って来た子どもをぎゅっと抱きしめ、心底安心する育ての親のチンパンジーの様子を動画で公開し、「なんて尊いんだろう」と話題になっている。
ロックハンプトン地方議会の発表やABCニュースの報道によると、9月5日、ガンダリと名付けられた3歳のチンパンジーが動物園の敷地内で毒ヘビに噛まれた。おもちゃだと思ってヘビをいじっていたところ、噛まれてしまった。
動物園では、サマンサという名前のチンパンジーが「育ての母」としてガンダリの面倒をみていた。ガンダリが噛まれたのに気づいたサマンサはすぐに駆け寄り、抱き上げて、飼育員や獣医になかなか渡そうとしなかったという。
どれほどの毒がガンダリの体内に入ったかは不明だったが、明らかに苦しそうで、血液を凝固できないなど毒ヘビに噛まれた時に見られる症状が出ていた。
ガンダリにはすぐに抗毒素を使った治療が施され、一晩かけて回復していったという。
快方に向かったことを受け、ガンダリは6日に育ての親のサマンサのもとに戻された。再会を捉えた動画では、最初、2匹は鉄柵で隔てられている。
鉄柵が右にスライドして開き始めた瞬間に、サマンサが動き出す。うれしさのあまりか、柵が開ききるのを待てず、手で柵を押して、ガンダリの元へと急ぐ。ガンダリもすぐにサマンサの胸の中に飛び込み、がっしりとしがみついた。
2匹は抱き合ったまま、顔を近づけ、5秒ほどじっと見つめ合った。その後、四つ足で歩きだしたサマンサだったが、ガンダリは離れようとしなかった。
動物園は、治療で群れから離れていたガンダリを少しずつ他の仲間になじませていく。短い時間でもいったん群れから離れたチンパンジーにとっては、この一歩ずつの復帰のやり方が重要になるという。