アメリカに住む9歳の子どもが大事な「親友」だった人形を海外旅行先で失くしてしまった。羽田空港で保管されているとわかったものの、すでに帰国してしまっていて、取りに行くことはできない。諦めそうになった時、手を差し伸べたのは、ある職業の人物だった。
ABCの番組グッド・モーニング・アメリカによると、人形を失くしたのはテキサス州のヴァレンティナ・ドミンゲスさん。4年前に祖母から贈られたアメリカンガールの人形をビアトリスと名付けて、遊び相手として大切にしてきた。
この夏、インドネシアのバリ島への家族旅行にも一緒に連れて行った。ところが、途中でビアトリスがいないことに気づき、旅行中の家族は一瞬にして大混乱に陥った。
帰国し、自宅でスーツケースを隅々まで調べたものの、ビアトリスは見当たらない。日本で乗り継ぎの際に、機内に置いてきてしまったことに気づいたため、ドミンゲスさんの両親は航空会社に連絡した。
両親はダラス・モーニング・ニュースの取材に、人形は羽田空港で保管されていることを突き止めたが、直接の引き取りしか方法がないと告げられたと答えている。
東京には知り合いはいなかった。そこで、SNSで知人らに窮状を訴えた。
投稿は拡散され、たまたまアメリカン航空で働くジェームズ・ダネンさんの目に留まった。
ダネンさんはドミンゲス一家の住まいから12キロの場所に住んでいて、たびたび仕事で東京行きの便に乗務するパイロットだった。
ダネンさんは、羽田空港にあるトルコ航空の遺失物センターにビアトリスを迎えに行った。帰国したダネンさんは、制服姿のままドミンゲス家を訪れ、ドミンゲスさんに人形を手渡した。
地元テレビ局WFAAによると、ダネンさんはドミンゲスさんに、日本のお菓子と人形がたどったすべての道のりを落とし込んだ大きな地図も贈ったという。
親友との再会を捉えた動画には、ドミンゲスさんがうれしそうに人形を抱きしめ、ダネンさんにハグする様子が映っている。
なぜこのような行動を起こしたか聞かれたダネンさんは「人助けが好きなんです。私の性分ですね。誰かのために何かしてあげられることがあって私自身とてもうれしかったです」とWFAAの取材に話した。