私たちが日々使っている外来語やカタカナ語。すっかり定着した言葉もあれば、実はよく分からずに使っているという単語もあるでしょう。
外来語を他の言葉で言い換えたいときは、国立国語研究所の「外来語言い換え提案」が参考になります。
「外来語言い換え提案」は、公共の場などで使われる少し分かりにくい外来語について、言葉遣いを工夫して分かりやすい言い換えを提案するもの。国立国語研究所の外来語委員会が2003〜2006年、計4回発表し、一覧にまとめました。
20年前の提案なので、一覧の中には、現在は定着している外来語もあるかもしれません。
「アイデンティティー」。この言葉の意味や、「日本語」で言い換えたら何というか知っていますか?
それでは見ていきましょう。
アイデンティティー
♢言い換え語独自性、自己認識
♢用例
・アジア社会の文化や歴史を、政治、経済、法律を、そのアイデンティティー(独自性)を尊重しつつ真摯な態度で学ぼうとする姿勢がうかがわれる。
・青少年のアイデンティティー(自己認識)の喪失による〜略〜
♢意味説明
他者とは違う独自の性質。また、自分を他者とは違うものと考える明確な意識。
♢
手引きとして、「変わらない確かな自分を意識していう場合は、やや難しい言い方であるが、心理学の専門語である『自己同一性』を用いることもできる」と補足しています。「自分が帰属する社会」などを意味して用いたい場合には、「帰属意識」と言い換えることもできるそうです。
このように、ニュアンスの違いでさまざまに言い換えができるため、正確な概念を伝えたい場合は、説明を付け加えることが望ましいとのことです。
複合語例は次の通り。
・アイデンティティークライシス = 自己認識の危機
・ナショナルアイデンティティー = 国家像 国家帰属感
・コーポレートアイデンティティー = 企業イメージの統一