夏は様々な虫と遭遇しやすくなる季節ですが、触れると危険な虫も多くいます。⾍ケア⽤品最⼤⼿のアース製薬に特徴や対策について教えていただきます。
触ると危険な虫
夏はキャンプや川遊びなどのアウトドア、昆⾍採集などで⾃然を楽しむ機会が多くあります。蚊やマダニ、アブやハチなどだけでなく、注意したい⾍に「やけど⾍」や「セアカゴケグモ」などもあります。
「やけど虫とは、アオバアリガタハネカクシのこと。体長6~7mm、アリのような姿をしていますが、体液に『ペデリン』という有毒物質を持っています。この体液が肌に付着すると、数時間後にミミズ腫れや水ぶくれのような火傷に似た炎症を起こします。これが火傷の痕のように見えることから、やけど虫と呼ばれているのです」
やけど虫は、どこにいるのでしょうか。
「北海道から沖縄まで、日本全土に分布しています。水田、畑、湿った草地などを好み、昆虫やダニ類のほか植物も食べます。成虫が見られるのは5~10月頃、6~8月は特に注意が必要です。
人を攻撃してくることはありませんが、手で払い落とそうとしたときに触れて、体液が付いて被害にあいます。やけど虫に触れたら、体液がほかの部位にもついてしまわないよう、触れた肌とその周辺を流水で洗い流すことが重要です。数時間後、かゆみや痛みが生じた場合は皮膚科を受診しましょう」
もう1つがセアカゴケグモです。近年被害報告も増えており、名前を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
「セアカゴケグモは、もともと東南アジアやオーストラリアに生息していた毒グモで、特定外来生物です。1995年に大阪府高石市で発見されて以来、全国的に拡がって問題となっています。
メスの体長は脚を広げると約15mmで、黒く丸っこい体で背中に赤い模様があるのが特徴です。日当たりがよく狭い隙間に巣を作ります。
身近な公園などのベンチの下、側溝などの蓋、石垣やコンクリートの塀の下、鉢植えやプランターの下などにひそんでいます。1匹見つけると、周囲に他の個体もいることがあるので、注意が必要です。
攻撃性はほとんどありませんが、触れるなど刺激を与えると咬まれる恐れがあります。メスは毒をもつため、咬まれると激しい痛み、腫れ、めまい、嘔吐などの症状が出ることがあります。咬まれた場合は治療が遅れると重症化するケースもありますので、傷口を流水や石けん水で洗い、念のため医療機関を受診しましょう」
被害にあわないためには
「やけど虫もセアカゴケグモも、人を狙って攻撃したり、咬んでくるタイプの虫ではありません。ただし、服や荷物などについたものを払おうとしたり、子どもが興味をもって捕まえようとすると危険です。
やけど虫やセアカゴケグモの生息しそうな場所へ出かける際には、長袖、長ズボンを着用し、首にはタオルなどを巻いて肌の露出をできるだけ少なくしましょう」
室内などでやけど虫やセアカゴケグモを見つけた場合は、どうしたらよいのでしょうか。
「やけど虫は不快害虫用の駆除スプレーで駆除します。近くでスプレーすると、スプレーの勢いで吹き飛ぶこともあるため、少し離れた場所からスプレーするのがコツです。死骸にも有毒な物質が残っているので、素⼿で触らずティッシュペーパーなどで包んで捨てましょう。
なお、やけど虫には夜間に明るいところに寄ってくる性質があるので、室内への侵入が心配なときは玄関灯、家の外壁、網戸などに虫を忌避させるスプレーを使用します。
セアカゴケグモを見つけたときには、絶対に触れずに他のクモと同様に、クモ専用もしくは不快害虫用エアゾールなどで駆除します」
せっかくの夏を楽しめるよう、虫対策も油断しないように気をつけてはいかがでしょうか。