真夏の夜の風物詩といえば、真っ先に「花火」が挙がります。大規模な花火大会の鑑賞はもちろんですが、庭先などで家族や友人と楽しむ「おもちゃ花火」も、味わい深いものです。
「おもちゃ花火」といえども火と火薬を扱うものだけに、マナーやルールを守らないと「危険」が生じることもあります。「おもちゃ花火」の安全な楽しみ方について、「花火の総合商社」株式会社若松屋広報担当の竹内直紀さんに解説して頂きました。
「おもちゃ花火」の普及は江戸時代から?
「おもちゃ花火」とはどのようなもので、どんな種類や特徴があるのでしょうか。
「『おもちゃ花火』または『玩具花火』と呼ばれる、家庭で楽しめるタイプの花火がいつごろ作られ始めたのかははっきりしません。
花火の業界団体である日本煙火協会によると、1659(万治2年)に大和国(奈良県)出身の初代鍵屋弥兵衛が江戸に出て、ワラの管の中に火薬を入れた初歩的なおもちゃ花火を発案して売り出し、庶民に爆発的な人気を得たといわれているそうです。
以後、さまざまな研究と実験が繰り返されながら庶民の遊びとして発達し、いまではたくさんの花火があります。炎や火花、煙を出すだけでなく、飛翔、走行、回転したり、打ち上げるタイプのものもおなじみです」(竹内さん)
安全に楽しむためのルールとマナー
「おもちゃ花火」を安全に楽しむためには、どのようなルールやマナーがありますか。
「まず、花火に書かれている『遊び方』『警告・注意点』をよく読み、必ず守ってください。『おもちゃ花火』といっても、原料は火薬です。子どもだけで遊ばず、大人と一緒に使用してください。
また、必ずバケツなどに消火用の水を用意しておくこと。風の強い日と、燃えやすいものや建物の近くでは、花火遊びをしてはいけません。
きちんと準備をしたうえで花火遊びを始めたら、たくさんの花火に一度に火をつけたり、人や建物に向けたりしないこと。衣服に火がつかないように気をつけながら、風が弱くても点火するときは体を風上にして、風下の人が火の粉をかぶらないよう風の方向に注意しましょう。また、花火はポケットに入れないようにしてください。
花火は種類や形状によって点火位置が異なります。点火方法を確かめて、マッチやライターなどではなく、ローソクまたは線香で点火するようにしてください。
吹き出し、打ち上げタイプの花火は点火するとき、筒先に顔や手を出さないこと。大けがにつながる可能性があります。よくやりがちですが、途中で火が消えても絶対に中をのぞいてはいけません。
最後に、花火を分解して火薬を集めたり、違う種類の火薬を混ぜ合わせたりすることは大変危険ですし、法律違反にもなるので絶対にしてはいけません。遊び終えた花火は、使用後すぐにバケツなどで水につけて、火が完全に消えたことを確認してください」(竹内さん)
使用後の捨て方は?
水につけておいた「おもちゃ花火」は、どのようにして捨てればいいでしょうか。
「水を張ったバケツに入れたままにして、完全に火が消えていることを確認したら、しっかり水を切ってから、ごみ収集に出すようにしましょう。
使い終わった花火は『可燃ごみ』として出せる市区町村が多いようですが、『危険ごみ』『不燃ごみ』と指定されている場合もあります。念のために自分が住んでいる自治体のホームページなどで確認してから、指定の日に捨てましょう」(竹内さん)
未使用花火の捨て方も要注意
買った花火を使うことなく、未使用のままで捨てることもあると思いますが、その場合も注意が必要です。
「火薬を残したままにするのは避けたいので、できるだけ使用してから捨てることをオススメしています。
ただし、使用が難しい場合は、水に1週間程度つけてから自治体の分別指示に従ってごみ収集に出しましょう。花火の火薬は水につけることにより火が付きづらくなり、安全に処分できます。
ただし、『未使用花火の処分はごみ収集に出さず、専門の業者に依頼してください』としている自治体もありますので、こちらも事前に自治体のホームページなどで処分方法を確認しておきましょう。
とくに、ロケット花火や打ち上げ花火は、構造が手持ち花火とは違い、プラスチックが使われているものも多いので、バケツの水につけても火薬部分が十分に水分を吸収しない可能性があります。
日本煙火協会でもロケット花火や打ち上げ花火の捨て方について、『処分がしにくく一般の方にはおすすめできません』としていますので、専門業者に回収を依頼するのが安全・確実です。
使用済みでも未使用でも、花火をつけておいた水には紙くずが残っていたり、火薬が溶け込んでいたりする可能性があります。それらを茶こしなどでできるだけすくい取ってから、排水口・排水溝に流すようにしてください」(竹内さん)
早くも8月後半、家族や友人と安全な使い方で真夏の夜の風物詩、「おもちゃ花火」を楽しんではいかがでしょうか。
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