アフガニスタンで子どもたちの教育支援に当たり、イスラム主義勢力タリバンによって拘束された活動家の男性に向け、俳優のアンジェリーナ・ジョリーさんが公開書簡を発表した。
ジョリーさんは8月16日、ある男性の写真とともに、自身のInstagramで次のように報告した。
「マティウラ・ウェサは、アフガニスタンで女性と少女の権利を守る多くのアフガニスタン人男性のうちの一人です。彼は、タリバンによる女子の就学禁止の決定に反対しました。今、彼は刑務所にいます。私は今日、彼に支援の手紙を書きました」
インドの英字紙「Hindustan Times」などによると、アフガニスタンの教育活動家であるマティウラ・ウェサさんは3月、タリバン当局に逮捕された。ウェサさんは、女子に対する教育禁止の政策に抗議しており、モスクでの礼拝から戻る途中に首都カブール市内で当局に拘束されたという。
ウェサさんは、2009年に立ち上がったボランティア団体「Pen Path」の創設者。2400人以上のボランティアが所属し、教室の設置のほか、本や文房具の配布支援などに取り組んでいる。
ジョリーさんはInstagramの投稿で、ウェサさんが現地で子どもたちの間に立ち話をする姿や、「アフガンの少女たちに学びを」とのメッセージを掲げている写真を添えた。「暴力をなくす唯一の方法は教育によってのみ」という、ウェサさんが残していた言葉もシェアした。
「亡きお父様の遺志を継いでおられることを承知しています」
現地メディア「TOLO news」によると、ジョリーさんはウェサさん宛ての公開書簡で、「私もあなたと同じように、すべてのアフガニスタンの子どもたちが学校や大学に通い、平和なアフガニスタンに自由に貢献できる日を願っています」と述べたという。
続けて、ウェサさんの長年の支援活動に対して敬意を表し、こうつづった。
「あなたが10年以上もの間、アフガニスタンの子どもたち、特に農村部の子どもたちが本を手に入れ、学校に行く手段や機会を得られるようにするために人生を捧げてきたことを知っています。
私は、あなたがアフガニスタンの子どもたちのために同じような活動を続けてこられた、亡きお父様の遺志を継いでおられることを承知しています」
その上で、ジョリーさんは「あなたが重要な活動を続けられるように釈放を求め、そして少女の教育に対する全ての制限の撤廃を求める全ての人の声に賛同します」と伝えた。
また、アフガンで活動する教師やジャーナリスト、人権擁護者たちの居場所は、刑務所ではなく「アフガニスタンの人々のために多くの素晴らしい活動に取り組むコミュニティ」だと強調。「あなた方がしてきたこと、そして今後もしていくであろうことの全てに感謝します」と述べた。
ジョリーさんは、これまで紛争地域など人道支援の現場にたびたび足を運び、避難民や移民らを支援する活動に取り組んできた。2001年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使に任命され、2012年4月からは10年間にわたってUNHCR特使を務めていた。