炎天下で上昇した車内温度を一番早く下げる方法。JAFが実験で検証

同じボディカラーの乗用車を5台用意し、車内温度が55℃に達した時点で、モニター5人がそれぞれ異なる条件のもとで、車内温度の低下状況をJAF(日本自動車連盟)が調査しました。
ウェザーニュース
本格的な夏の到来とともに猛暑日も続いています。お盆休みになどで車の使用頻度も増える時季ですが、炎天下で駐車していた車の中はすぐに乗り込めないほどに温度が上昇し、熱中症の危険性は一層高まっています。

熱がこもって超高温になった車内の温度を素早く下げるにはどうしたらいいのか。綿密な実験を行って検証したというJAF(日本自動車連盟)に、効果的な方法などを解説して頂きました。

車内温度を下げる方法を5通りの実験で検証

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JAFでは同じ車種、同じボディカラーの乗用車を5台用意し、車内温度が55℃に達した時点で、モニター5人がそれぞれ異なる条件のもとで、車内温度の低下状況を調査しました。

5台の車の調査状況は、「ドア開閉」「冷却スプレー使用」「エアコン(外気導入)」「エアコン(内気循環)」「エアコン+走行」という5通りです。

5通りの結果はどのようなものだったのでしょうか。

「エアコンを使わない2パターンのうち、『ドア開閉』は30秒後に47.5℃に。『冷却スプレー使用』は3分後に50.1℃に低下しました。

エアコンを使用した3パターンでは、最も温度が下がったのが『エアコン(内気循環)』で、10分後に27.5℃となりました。『エアコン(外気導入)』は10分後に29.5℃に。『エアコン+走行』では5分後に28.0℃まで低下しています。

『エアコン+走行』はわずか5分で55℃から28.0℃まで一気に車内温度が下がっています。これにより、『エアコン+走行が最も早く車内温度を下げることができる』ということが分かりました」(JAF)

車内の熱気を逃してから冷やすのが効率的

最も温度低下に効果があったとされる「エアコン+走行」ですが、なぜ最初は窓を全開にしたり、エアコンを「外気導入」に設定したりしたのでしょうか。

「始めに外気導入にするのは、外の温度よりも車内温度のほうが高いからです。真夏の炎天下、気温35℃で窓を閉め切った黒いボディの車内では、エンジン停止後わずか30分で約45℃、3時間後には55℃を超えるほどに温度が上昇したという記録もあります。

たまった車内の高温の熱気を逃し、その後に窓を閉めて内気循環にして車内を冷やすことが最も効率的な方法だからです。

エアコン+走行は短時間で温度を大きく下げられるので、燃料の消費や排ガスも抑えられ、環境面でもメリットが多いといえるでしょう」(JAF)

「ドア開閉」も、30秒間で7.5℃車内温度が下がるという、比較的高い効果があるように思えます。

「ただし、ドアの開け閉めを繰り返すと、騒音となって迷惑を生じたり、車の故障の原因になったりもします。また、狭い駐車場などでは他の人や車に接触する危険性もありますので、『ドア開閉』は推奨できないのです」(JAF)

車内での火傷にも注意

真夏に車内の温度を下げようとする際、他に注意すべきポイントはありますか。

「まず、実験ではあまり効果がみられなかった冷却スプレーの多くには、可燃性のガスが使われているため、火の取り扱いに注意してください。

換気が不十分な車内で冷却スプレーの使用後、たばこに火をつけようとしてガスに引火し、やけどを負ったという事故も起きています」(JAF)

直射日光が当たる場所では火傷にも注意が必要です。

「エアコンなどで車内温度が下がっても、ハンドルやシートベルトの金具、チャイルドシートの表面などは熱が蓄積していて、それほど温度が下がっていないことがあるので、注意してください。

高温になっているチャイルドシートの表面やベルトの金具で、子どもが火傷するケースもあります。特に子どもを乗せる場合は十分に気をつけましょう。

また、夏場は真夏日や猛暑日でなくとも、熱中症の危険が高まります。わずかな時間であっても、子どもや高齢者を車内に残すことは絶対にやめてください。

エアコンで適温が保たれているはずの車内でも、エンジンを停止させて5分経過した時点で車内温度は約5℃上昇し、15分後には熱中症の指標である熱中症指数が危険レベルにまで達してしまったという記録もあります。

こうした状況下に子どもを放置するのは危険ですし、加齢により体力が低下した高齢者は体温調整機能も低下している場合がありますので、危険性は同様です」(JAF)

車を運転する際には「エアコン+走行」による車内の温度低下を有効に活用し、熱中症予防などに努めましましょう。
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