「体調が悪いのを責めても仕方ない。自分を知って受け入れる」鈴木砂羽さんが語る更年期との向き合い方

俳優の鈴木砂羽さんは、40代半ばまで忙しさにのまれて更年期症状を自覚することすらできていませんでした。いまは自分のペースで更年期と向き合えていると語る鈴木さん、彼女に訪れた転機とは?
俳優の鈴木砂羽さん
主婦の友社
俳優の鈴木砂羽さん

「今も更年期真っただ中。ホットフラッシュは常にあります」と語るのは、俳優の鈴木砂羽さん。 

主婦の友社が手がけるアフターヌーンエイジ Projectと、キッコーマン ニュートリケア・ジャパンがタッグを組んだ「私らしく輝こう」キャンペーン。その一環として、6月30日に開催された「更年期の対処法」についてのトークショーでの一場面です。 

40代50代の更年期女性の体は、女性ホルモン分泌の揺らぎの影響を大きく受けて変化します。主婦の友社が働く女性に向けて発信するウェブメディア「OTONA SALONE」は、そんな更年期という時期を「うまく乗り越えるヒント」を提供し続け、22年10月には更年期の社会啓発活動「アフターヌーンエイジ Project」をスタートしました。   

俳優として活躍しながら、まさに更年期を迎えている一人の女性でもある鈴木砂羽さんは、症状とどう向き合い、どのように自分らしさを発揮しているのでしょうか。アーカイブ配信中のトークショーから、一部を紹介します。  

つらい症状に蓋をしてきた10年間

トークショーの様子
主婦の友社
トークショーの様子

鈴木さんの更年期の始まりは40代前半。最初はメンタルの揺らぎを感じたものの、更年期のせいとは思いませんでした。40代半ばには、めまいやホットフラッシュといった体の不調も現れるように。しかし、多忙を極めるあまり「どこが良くないのか、なぜ不調なのか」を立ち止まって考える時間もないまま、がむしゃらに駆け抜けてきました。

「毎晩動悸がして眠れなかったのですが、精神的なプレッシャーによるものかと思っていたんです。これも更年期症状だと知ったのは後からでした」

また、40代後半からは生理が重くなり、立ち上がると血の気が引くようなひどい出血が起こるようになりました。婦人科で診てもらったところ、子宮筋腫ができていたといいます。

「舞台に上がる仕事をしていると、自分の不調に当たり前のように蓋をしてしまうんです。鎮痛薬を飲んだり、漢方を処方してもらったりと、応急処置を続ける10年間でしたね。でも、子宮筋腫の手術をきっかけに、執刀医の先生がなんでも相談できる主治医になってくれたのは大きかったかな」

コロナ禍きっかけに変化

鈴木さんが転機を迎えたのは、コロナ禍の時期。更年期症状がますます強くなった47、48歳ごろのことでした。

「症状が本当につらくて、家から一歩も出たくないし、誰にも会いたくなかった。でも、偶然にもコロナ禍の時期と重なったので、仕事も少なめで、家にこもっていてもなんとかなりました。この期間があったからこそ『つらいときはつらいでいい』と思えるようになったんです」

それからは「同年代の仲間と、手を取り合って乗り越えてきた」という鈴木さん。更年期に入った少し年下の仲間に「自分もつらかった。無理に動こうとしなくていいよ」と声をかけると、ホッとした顔をしたそうです。

そんな鈴木さんでも、どうしても「やるしかない」ときはまだまだ「気合と根性」で乗り切ることもあるのが現実です。その代わり、普段から自分のケアを怠りません。

できることを無理なく、セルフケア

鈴木さんは更年期を迎えてから、食事に気を遣うことが増えました。

「生理が重くなったので、鉄分を積極的に摂っています。焼き鳥屋では必ずレバー(笑)。小松菜やほうれん草をお味噌汁に入れたり、フルーツと混ぜてスムージー作りしたりも。

とにかく、自分ができることをやってみていますね。あとは発酵食品とか、イソフラボン補充のために大豆を摂ったりも。納豆ごはんが大好きで、よく食べています」

また、気持ちの面では、普段から「自分のことを理解する」ことを心がけているといいます。「自分はこういう人間だから」と知ったうえで受け入れ、仲間を作って支え合うのが鈴木さん流。

「体調が悪くなっても仕方がないから、自分を責めたりはしません。『開き直る』は私も好きじゃないけど…『諦めて』ください。『諦める』って(仏教用語で)『明らかに見る』こと。自分のことを明らかに見て、受け入れるのは悪くないですよね」 

また、会場からの「気分を上げるにはどうしたらいいですか」という質問に対し、鈴木さんは「無理に上げなくていいんですよ」と意外な答えを返しました。

「気分って、ポジティブにしようとすればするほど、振り子のように反動が大きくなってしまう。すると、かえって振り回されてしまうんです。

更年期はなるべく感情の起伏を減らして、『今、自分は少し揺れてるな』というくらいに留めています。どうしても気持ちの昂ぶりを抑えられないときは、走ったり、キックボクシングをしたりと体を動かして発散していますね」

「メンタルの保ち方を教えてほしい」という、ホルモン療法中の方の質問に対しては、こう回答します。

「私は更年期症状が現れることに慣れて、深刻に捉えすぎなくなりましたね。ぜひ、主治医に頼って、薬の相談もたくさんして、深刻になりすぎないでください。更年期は不安だけど、誰もが通る道。あんまり不安がらなくて大丈夫ですよ」