深刻な熱波を記録しているアメリカで、8頭もの警察犬が移動中に熱中症で死亡する惨事が起きた。
アメリカ・インディアナ州のレイクステーション警察署がSNSに投稿した説明やNBCシカゴの報道によると、警察犬たちが悲劇に見舞われたのは7月27日。18頭のシェパードをシカゴ・オヘア国際空港からインディアナ州ミシガンシティーにある訓練施設への輸送中のことだった。
交通渋滞に巻き込まれて2時間余計にかかっている間に、警察犬を乗せていたトラックの貨物室のエアコンが故障。猛暑で外気温が高温だったことから、貨物室内の気温も上昇していった。
運転席は貨物室と切り離された造りになっており、運転手は犬たちが吠えだすまで事態に気づけなかった。
運転手がトラックをガソリンスタンドに停車して貨物室を開けると、犬たちが苦しんでいたという。地元の消防署と警察署に緊急通報がなされ、一般市民も加わって、なんとか1頭でも多くの警察犬を救おうと現場で必死の対応がとられた。
しかし、8頭が熱中症で命を失い、ほかの犬も動物病院に搬送されたという。
レイクステーション警察署は、今回の惨事を「異常な出来事」と認識しつつも、動物虐待やネグレクトではなく、単純に貨物室のエアコンの故障が原因だと結論づけた。
一方、異なる見方を示している関係者もいる。ABCニュースによると、地域の動物保護サービスを請け負うホバート動物愛護協会のジェニファー・ウェバー事務局長も現場に駆けつけた一人だ。
犬たちには、ふらつき、嘔吐、痙攣、大量の唾液が出るなど熱中症の症状が出ていた。トラック内を確認すると、水飲み用のボウルが置かれていたものの、まるでオウム用かと思うほど小さいものだったという。
ウェバー氏は「気温が37.8度を超すような日に、獣医師が移動許可を出したとは思えない」と主張している。
アメリカでは今年、記録的な熱波により様々な被害が広がっている。CNNによると、「過去12万年間の地球で最も暑い月」となった7月には、7000万人に熱中症警報が出された。人間への影響だけでなく、動物たちの脱水症状や大幅な海水温の上昇によるサンゴの死滅など、多方面での被害が報告されており、引き続き猛暑に警戒が必要となっている。