モロッコ女子サッカー代表のナヒーラ・ベンジーナ選手は7月24日、女子ワールドカップのピッチでヒジャブを着用しウォームアップを行い、新たな歴史を作った。
オーストラリアのメルボルンで行われた試合で、モロッコ代表は過去2度の優勝経験を誇るドイツ代表に6対0で大敗を喫した。
しかし、チームは別の意味で大勝を収めた。というのも、ベンジーナ選手が、女子ワールドカップでヒジャブを着用した初めての選手となったからだ。
ベンジーナ選手はグループHのドイツ戦ではプレーはしなかったものの、サポーターたちは彼女の影響が世界中で感じられることを期待している。
Muslim Women in Sports Networkの共同設立者であるAssmaah Helal氏は「女の子たちはベンジーナ選手を見て、『私もこうなれるかもしれない』と思うでしょう」と述べ、次のように続けた。
「また、政治家や決断を下す立場にある人たちも、『女性や少女がスポーツに参加できるようにオープンで包括的な場所を作るため、私たちの国はもっと努力する必要がある』と言うでしょう」
ベンジーナ選手はモロッコでトップレベルの女子クラブでプロのサッカー選手としてプレーしており、ヒジャブを着用し試合に出場したことはあるが、ワールドカップでは初めて。
彼女はワールドカップでヒジャブを着用することへの興奮をSNSに投稿。Instagramで「2023年の女子ワールドカップに参加する736人のアスリートの中で唯一ヒジャブを着用する選手になる」という他の人のTwitter投稿のスクショをシェアした。
ヒジャブとスポーツには複雑な歴史がある。
2007年、サッカーの審判が11歳のカナダ人少女に対し、試合中のヒジャブ着用を禁止した。
この出来事を聞いたFIFAは、窒息につながる「健康と安全」の懸念からとして、首元が露出しない形状の被り物を禁止した
その後、アクティビストたちは禁止令を覆すために活動し、2012年にFIFAはアジアサッカー連盟に2年間の試験期間を設け、選手らに被り物の着用を認めると発表した(そこにワールドカップは含まれていない)。
FIFAの禁止令は2014には完全に解除されたが、フランスではいまだに争点となっている。
2019年の女子ワールドカップはヒジャブを禁止しているフランスで開催された。
フランスの裁判所は2023年6月末、サッカーの試合でヒジャブを着用することを禁止するというフランスサッカー連盟の決定を支持した。
しかし前出のHeral氏は、FIFAが2014年に禁止令を解除して以来、より多くのイスラム教徒の少女や女性がサッカーをしているのを目にするようになったと語った。
ワールドカップ出場は、モロッコ女子代表チームにとって今大会が初めて。同大会に出場する初めてのアラブ、北アフリカの国となった。
ギズラン・シェバク選手は7月23日、以下のように述べた。
「私たちは、女子ワールドカップに参加する最初のアラブ諸国であることを光栄に思っています。モロッコの功績を示し、良いイメージを与えるため、大きな責任があると感じています」
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。