※この記事では、観光客がディンゴに噛まれる瞬間の動画を取り上げています。
ユネスコの世界遺産にも登録されているオーストラリアの美しい島で、人間が野生のディンゴに襲撃される事案が相次いでいる。
ビーチで寝ていると突然…
BBCなどによると、4月から5月にかけて、オーストラリア・ガリ(フレーザー島)のビーチで、フランス人の女性の観光客が野生のディンゴに襲われた。
公開されたビデオには、ビーチをうろつく数頭のディンゴのうちの1頭が、砂浜にうつ伏せで寝そべっている女性に背後から近づく様子が収められている。
女性がディンゴに気づき慌てて逃げようとした瞬間、ディンゴが女性のお尻にかみついた。女性を助けに駆けつける人の姿もビデオに映っていた。
BBCによると、ガリには約200頭の野生のディンゴが生息しており、最近では人間を襲撃するディンゴを安楽死させるケースが後を絶たない。
クイーンズランド州の公園野生生物局(QPWS)は、フランス人女性を襲ったディンゴを「人道的に安楽死させる」決定をしたという。このディンゴは、他の複数の観光客にも危害を加えていた。
10歳の少年が水中に引きずり込まれる被害も
ABC Newsによると、6月中旬にも、島の西部にあるキャンプ場で1人で歩いていた10歳の少年がディンゴに襲われ、水中に引きずり込まれる被害に遭った。少年は姉に助けられたが、腕と肩に傷を負ったという。
現地の先住民レンジャーであるダレン・ブレイク氏は、ガリを訪れる際には子どもたちを目の届く範囲に置くように忠告する。「子どもが1人でいるのを見ると身の毛がよだちます」
やや小さめの身体つきをしているが、ブレイク氏は「ディンゴも捕食者。(凶暴さは)オオカミとなんら変わりません」といい、観光客らに対し警戒を促した。
海水浴を楽しもうと多くの観光客が押し寄せることが見込まれる中、QPWSは危険なディンゴへの対策に頭を悩ませている。
島にはディンゴの餌付けを禁止する厳しい規則があるが、ディンゴは「適応能力が非常に高く、餌を求めるようになる」ため、一般市民へのリスクは高まる一方だという。
地域統括長のスティーブン・プライス氏は、最悪の場合「健康な野生のディンゴを安楽死させるという厳しい決断を下さなければならない」と語っている。
「健康な野生の動物を安楽死させる決定は、犠牲を伴います」