「助けて」を伝える、世界共通のハンドジェスチャーを知っていますか?
片手で行えて、声を出す必要がないため、加害者に気づかれにくい形で周囲に助けを求めることができます。
このジェスチャーは、「#SignalForHelp(助けてを伝える合図)」という名前で、アメリカの「女性基金ネットワーク」や「カナダ女性財団」が推奨しています。
新型コロナウイルスの感染が広がった当時、家庭内暴力(DV)のリスクが高まっていたことを受け、被害者がビデオ通話などを通じて第三者に助けを求める方法として考案されました。
サインのやり方は?
サインの方法は、とてもシンプルです。以下の3つの手順で伝えることができます。
①片手の手のひらを、人に向ける
②親指を手のひらに押し込む
③残りの指を、親指の上に折りたたむ
カナダ女性財団が公開している動画では、女性がビデオ通話で、「バナナブレッドのレシピを教えて」と雑談するふりをしながら、通話相手に「助けて」のジェスチャーをしています。
女性の背後には同居人とみられる人物が映っており、DVの被害者が加害者もいる密室から助けを求める例となっています。
この方法なら、窓越しで通行人に合図をしたり、自宅を訪問した人を玄関先で対応する加害者の後ろからサインを送ったりと、加害者に気づかれることなくSOSを発することができます。
サインに気づいたら、どうすれば良い?
「助けて」のサインに気がついた人はどうしたらいいのでしょうか。
カナダ女性財団は、「サインを使っている人を見た場合、安全な方法でその人に、『何が必要なのか』『何をして欲しいのか』を確認してください」と呼びかけています。
安全な確認方法の例として、以下を挙げています。
1. 答えを加害者に聞かれている場合のリスクを減らすため、「はい(Yes)」や「いいえ(No)」で答えられる質問をする。
例:「110番しましょうか?」「あなたに代わって、シェルターと連絡をとりましょうか?」
2. SNSやメールなど別の方法を使って、「一般的な質問」をする。助けを求めている人の携帯電話やSNSアカウントなどが、加害者によって監視されている場合のリスクを減らすため。
例:「最近どう?」「できる時に、連絡してね」
3.ほかには、このような質問をしてもいいかもしれない。
例:「私に、定期的に連絡をとって欲しい?」「私にできることはある?」
危険が差し迫っている場合には、警察などに通報するようにも呼びかけています。
合図が救出につながったケースも
このハンドジェスチャーを使って、被害者が実際に救われるケースも確認されています。
2021年11月には、行方不明になっていたアメリカの当時10代の女性が、「助けて」のサインを使って救出されました。
女性が乗っていた車の後方を走っていた車の運転手が、女性のハンドジェスチャーに気づき911に通報。さらに、この運転手は女性が乗っていた車を追跡していました。
女性を乗せた車が高速道路を降りたところで、捜査官たちが停車させて女性を保護しました。
女性はTikTokでこのジェスチャーのことを知り、サインに気づいた運転手も女性のジェスチャーが『助けて』の合図だと知っていたといいます。
◇ ◇
世界共通の「助けて」のサイン。知っておくことで、もしもの時、あなたも誰かの命を救えるかもしれません。
【ハンドジェスチャーについて伝えるカナダの警察のツイート】
これは家庭内暴力のサインです。
自宅隔離は、家庭での暴力のリスクを増やします。何かあった時には、ビデオ通話の最中にこのジェスチャー使い、助けを求めて下さい。
1. 話している相手に向けて、手の平を広げます
2. 親指を手の平の内側に折りたたみます
3. たたんだ親指の上に、他の指をかぶせるようにして折りたたみます
(この記事は、2021年の記事を基に再編集・加筆しています)