ジャニー喜多川氏(2019年死去)による元所属タレントらへの性加害疑惑を受け、ジャニーズ事務所が設置した外部の専門家によるチームの座長・林真琴氏は6月12日午後、記者会見を開き、「過去の性加害の存在を前提として、事務所の対応にどんな問題があったかを厳正に検証する」と説明した。
一方で「網羅的に調査することは目的としていない」として、全容解明を避ける意向を示した。
喜多川氏による性加害疑惑をめぐり、同社の関連組織が記者会見を開くのは初めて。チームのメンバーである前検事総長で弁護士の林氏と、精神科医の飛鳥井望氏が登壇した。記者会見の会場には150人以上の報道陣が詰めかけた。
チームは5月26日、ジャニーズ事務所が「ガバナンスをはじめとした社内の事実関係を確認の上で、再発防止に向けた提言を(同社に)行う」という目的で設置した。林氏、飛鳥井氏、臨床心理の研究者の3人で構成。5月29日に初会合を開き、ヒアリング対象者の選定などを行ったという。
チームは性被害を申告している元所属タレントらやジャニーズ事務所の役員や社員にヒアリングを実施する。調査期間は未定。検証結果をまとめ、「ガバナンス上の問題に関する再発防止策」を同社に提言するという。
林氏は「網羅的調査」を避ける理由について、「この件(喜多川氏による元所属タレントへの性加害の疑い)を語ること自体が、心理的な負担を与える」と説明。その上で、「同社への所属経験のある人全てに聴取すること自体が心理的負担や風評被害を招きかねず、適切ではない」と述べた。
チームの役割については「事案に対する損害賠償も含む法的責任の認定はしない」と強調し、「損害賠償をどうするかは調査の目的ではない」と述べた。その上で、「喜多川氏による性加害をめぐる刑事手続にも関与しない」と話した。
飛鳥井氏は「(同社に)性加害に甘い風土があれば、検証していく」と話した。
◆性暴力について相談できる窓口
ワンストップセンター、性犯罪・性暴力に関する相談窓口の全国共通短縮番号
#8891
警察庁の性犯罪被害相談電話全国共通番号
#8103
内閣府「性暴力に関するSNS相談支援促進調査研究事業」 Curetime
時間:24時間365日(17〜21時はチャット、それ以外の時間はメールで相談可能)
方法:チャットのみ。外国語での相談も受け付けている。
相談機関では性暴力専門の相談員が対応している。状況や本人の意思を踏まえて対応を考える。相談員が本人とともに警察へ行く場合もある。
◆衣服と身体を洗わない
性被害にあった証拠を採取するために、重要となるポイントがある。
1. 被害に遭った時の衣服を洗わない
2. 身体を洗わない
薬物の使用が疑われる場合は、尿検査や血液検査をする必要がある。
なるべく早く警察やワンストップセンターに相談することが大切だ。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉