<あわせて読みたい>「不同意性交等罪」を創設、性交同意年齢は引き上げ。改正刑法が成立、どう変わる?
性犯罪の規定を大幅に見直す改正刑法が成立しました。
柱の一つが、「同意のない性的行為」を処罰するため、構成要件となる行為を具体的に示した「不同意性交等罪」の創設です。
そもそも、「性的同意」がどのようなものかイメージしにくい人もいるかもしれません。
相手が性行為に同意しているか・していないかを、どう判断したら良いのでしょうか。
性的な行為を「紅茶」に置き換えた、約3分間のアニメーションがあります。
世界で20を超える言語に翻訳され、再生回数が1億5000万回以上に上るこの動画。「性的同意」を相手に確認する時の大切な考え方を、わかりやすく伝えています。
「飲むかを決めるのはその人自身なんだ」
(Copyright ©︎2015 RockStarDinosaurPiratePrincess and Blue Seat Studios.)
<きみが「紅茶飲む?」と聞いて、「うん、飲みたい。ありがとう」って相手が言ったら、紅茶が欲しいことが分かるよね。
もし、「紅茶飲む?」って聞いた時、「うーん、どうかなあ...」って言ったら、その人は紅茶を飲まないかもしれないし、もし飲まなかったとしても、これがすごく大事なこと。無理やり飲ませちゃだめ。
君が紅茶をいれたとしても、飲むかを決めるのはその人自身なんだ。もし「いらないよ」って言われたら、紅茶をいれちゃいけない>
以前「紅茶が欲しい」と言っていた人でも、その後に気持ちがわかることもあると動画では説明しています。
<「うん、ちょうだい、ありがとう」って言っても、紅茶をいれたら全然飲まないかもしれない。「せっかくいれたのに」って、ちょっとイラっとしちゃうかもしれないけど、その人が紅茶を飲む義務はない。
さっきは欲しかったけど、今はいらないだけ。お湯を沸かして、ミルクを準備している間に、気持ちが変わることもある。
気持ちは変わるものだし、紅茶を飲むかを決めるのはその人自身なんだ>
意識のない人に無理やり飲ませてもだめ
さらに、意識がない人に無理強いをしてはいけない、とも強調しています。
<紅茶を飲むか聞いた時は「飲む」って言ったけど、お湯を沸かしてミルクを準備している間に意識がなくなっちゃうこともあるかも。
そうなったら紅茶を下げて、この人が大丈夫か確認しよう。そしてここがまた大事。相手に紅茶を飲ませちゃだめ。
はじめに飲むと言ったとしても、意識のない人は紅茶を飲まないよ。
もし紅茶を飲み始めた人が途中で意識を無くした時も、無理やり喉に流し込んじゃだめ。
紅茶を片付けて、その人が大丈夫か確認しよう>
過去にOKと言ったからといって、それは「いつもOK」ということを意味しない、というのも重要なポイントです。
<もし先週の土曜日に紅茶を飲みたいって言ったとしても、その人がいつも紅茶を飲みたいわけじゃない。
勝手にお家に行って、先週飲みたがってたよね、と無理に飲ませたり、寝起きの人に、昨日の夜飲みたいって言ってたじゃん、って口に流し込むのもだめ。>
動画は最後、こう締めくくられています。
<紅茶を飲みたくない人に、無理やり飲ませることがいかに馬鹿げたことかわかれば、セックスも同じ。
したくない時もあるし、するかどうかを決めるのはその人自身なんだ。
紅茶だってセックスだって、相手の同意が大事ってことなんだよ>
◇ ◇
この「Tea Consent」は、アメリカのアニメーターのレイチェル・ブライアンさんらが制作し、2015年に公開されました。
ブライアンさんは「(制作当時、)性的な行為をする時に相手の同意を得ることはアメリカでも一般的ではなかった」と振り返り、性的同意について学ぶことのなかった大人たちを想定してこの動画を作ったとハフポスト日本版のインタビューに話していました。
「私の力なんて本当に小さなものですが、動画を通じて、性的同意について話すことは恥ずかしいことなんかではないんだ、という意識が生まれつつあるように感じています」(ブライアンさん)
性犯罪の規定を見直す刑法改正の動きに触れ、「同意のない性行為は性暴力だ」という規範が社会全体に浸透することを願っています」と述べています。