「通っている高校で、産休をとった教員の代わりとなる講師が見つからず、1人の教員が2クラスに同時に授業をした」
「公教育の崩壊を実感した」
東京都立高2年の秀島知永子さんは6月上旬、東京都庁で開いた記者会見でそう振り返った。「子どもや教員のために、教員の労働環境を早急に改善してほしい」
秀島さんは若者による政策提言に取り組む「日本若者協議会」のメンバー。同団体の高校生5人や室橋祐貴代表理事とともに会見に臨み、東京都の教員の労働環境を改善するよう訴えた。
高校生らは、教員を増やしたり、教員の仕事内容を見直したりすることを盛り込んだ要望に賛同する署名を、都議会の主な会派に提出したことを報告した。
会見までに集めた署名は2万9000筆。今後、都庁や都教委にも、署名と要望書を渡す方針だという。
東京都では4月7日時点で公立小教員が約80人不足。こうした実態を念頭に、高校生らは「深刻な教員不足の根本的な改善」を求めた。
その上で、▽教員数を増やし、「25人学級」を実現する▽教員の仕事内容を見直し、部活動などを教員以外が担う仕組みにする▽教員の質を担保するため、教員になってからも学び続けられる環境を整備するーーといった具体策を要望した。実現のため、都の教育予算を増やす必要があると強調した。
公立学校の教員の残業代は、1971年に制定された給特法の規定により、支払われないことになっている。代わりに、月給の4%が「教職調整額」として一律に上乗せして支給されている。
同法により、教員の残業時間に見合った残業代が支払われない実態は、「定額働かせ放題」などと揶揄されてきた。
姉が公立校で勤務しているという私立高3年の芹澤零音さんは「(公立校の)教員に残業代が支給されないことが、『ブラック』(な労働環境)につながっている」と指摘。「待遇や労働環境の改善が必要だ」と訴えた。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉