ピザの代金はあなたの死後にいただきますーー。
ニュージーランドで、究極の後払い決済「Buy Now Pay Later(BNPL)」が登場した。ピザチェーンが、ピザの代金について本人の死後まで支払いを待つ「AfterLife Pay (死後払い)」というサービスを発表し、話題になっている。
このサービスは、ニュージーランド拠点とするピザチェーン「Hell Pizza (地獄ピザ)」が始めた。同社によると、申し込めるのはニュージーランドとオーストラリア在住者。それぞれ抽選で666人が、この支払い方法を使えるようになるという。
希望者は、同社サイトから申し込む。締め切りは6月17日。当選者には6月20日までにメールで知らせるという。当選者はピザ代を死後に支払うことを宣誓し、同社が用意した遺言書に電子署名をすることになる。
サービスの背景には食料品の価格上昇
Hell Pizzaがこのサービスを始めた背景には、世界的に物価が上昇していることがある。ニュージーランドやオーストラリアも例外ではない。特にニュージーランドは2023年2月に発生したサイクロンの影響で、野菜などの食料品価格や保険料が上昇しているという。
Hell Pizzaのベン・カミングCEO(最高経営責任者)は「多くの人々が食料などの生活必需品を買うためにBNPLを使い、支払いが遅れるようになっています。ファストフードのピザを(一般的な)BNPLで提供するのは望ましくないと考えました」とコメントしている。
BNPLとはどんなしくみ?
BNPLは、今広がりを見せている後払い決済のしくみ。BNPLの事業者が小売店の請求を代行し、消費者が後日代金を払う流れでという点ではクレジットカードと似ている。ただ、与信審査が厳しくないうえに、利息や手数料が原則かからないというのが特徴だ。一括払いが主流で、クレジットカードを持てない人たちを中心に利用されていると財務省の資料で説明されている。
Hell Pizzaの試みは、このしくみを使って支払いを究極まで後ろにずらすというものだ。カミングCEOは「ピザは暮らしを彩る喜びのひとつです。アフターライフペイを利用すれば、銀行口座のお金にすぐに手をつけることなくピザを食べることができます」と述べている。