永岡桂子文部科学相は5月24日午前の衆院文科委員会で、児童虐待防止法を改正した場合、学校現場でジャニー喜多川氏の性加害問題について子どもなどに説明する必要があるかどうかを問われ、「各学校で判断することが重要」と述べた。
同法をめぐっては超党派の議員立法による改正案づくりが議論されている。「地位に基づく影響力を児童に対して有する者」による虐待の疑いを認知した人に、警察への通報義務を課す方向だ。
立憲民主党の柚木道義氏の質問に答えた。
性加害問題の再発防止策を問われ…
柚木氏は、喜多川氏の性加害問題を受け、児童虐待防止法を改正に向けた検討を超党派の議員で進めていると説明。法改正にあたり、「経済的、または社会関係上の地位に基づく影響力を有する第三者」からの虐待の疑いのある子どもを見つけた人に、警察などへの通報を義務づける方針を明かした。
その上で、子どもに対して通報義務について説明する必要が生じるとの認識を示し、「学校現場の先生が(子どもに、喜多川氏による性加害の事案を)具体的に説明した上で、警察への通報義務を周知することは可能か」と質問した。
永岡氏は「(性暴力を防ぐための教育では)各学校や地域の状況に応じて、具体的な例をしっかりと取り扱う」とした上で、喜多川氏をめぐる疑惑を周知するかどうかは「各学校で判断することが重要」と述べた。
続けて柚木氏は、喜多川氏による加害を事実として認定するための調査を実施しないというジャニーズ事務所の方針に言及。
「(ジャニーズ事務所で)何が起こって、なぜ防げなかったのかを明らかにすることが、教育現場で性被害と性加害を防止する教育を進めていく上で、最も重要」との認識を示し、永岡氏の見解を問うた。
永岡氏は質問について「学校や文科省で何か明らかにしなければいけないとかいうこととは少し違うので、ただいまの質問にはお答えしかねる」と述べた。
性加害問題の再発防止策を問われた永岡氏は、「文科省が作成している性暴力を防ぐための教材で、自分や友達が性暴力の被害に遭ったら、被害を受けた本人は悪くないこと、信頼できる大人に相談することを示している」と説明。
対応にあたる教員らには警察や児童相談所との連携を求めているとした上で、「児童生徒が被害に遭った場合、学校現場において適切に取り組みを進めていく」と述べた。
◆性暴力について相談できる窓口
ワンストップセンター、性犯罪・性暴力に関する相談窓口の全国共通短縮番号
#8891
警察庁の性犯罪被害相談電話全国共通番号
#8103
内閣府「性暴力に関するSNS相談支援促進調査研究事業」 Curetime
時間:24時間365日(17〜21時はチャット、それ以外の時間はメールで相談可能)
方法:チャットのみ。外国語での相談も受け付けている。
相談機関では性暴力専門の相談員が対応している。状況や本人の意思を踏まえて対応を考える。相談員が本人とともに警察へ行く場合もある。
◆衣服と身体を洗わない
性被害にあった証拠を採取するために、重要となるポイントがある。
1. 被害に遭った時の衣服を洗わない
2. 身体を洗わない
薬物の使用が疑われる場合は、尿検査や血液検査をする必要がある。
なるべく早く警察やワンストップセンターに相談することが大切だ。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉