大きくて緑鮮やかな露地栽培のそら豆が店頭に並ぶ時季になりました。豆のさやが空に向かって伸びることから「空豆」、蚕を飼う初夏に食べ、さやの形が蚕に似ているから「蚕豆」など、名前の由来はいろいろです。
今の時季は鮮度が良く甘くてみずみずしいものを食べることができます。そこで美味しいそら豆の選び方を、野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。
そら豆は6大食用豆の一つ
「そら豆は、大豆、えんどう豆、いんげん豆、落花生、ひよこ豆と並んで6大食用豆と呼ばれています。
4000年以上前からエジプトで食用として栽培され、日本には奈良時代に中国経由で持ち込まれたといわれています。
そら豆は未熟なものから完熟まで、味と食感の変化を楽しめ、また調理法も変わってくる豆の一つです。未熟なものはみずみずしいので、さっと塩茹でしておつまみやおやつに、完熟してホクホクした食感のものは煮豆や甘納豆など、調理法はさまざまです。
また豆板醤の材料としても有名な、完熟したものを乾燥させて調理する際に戻して使う乾燥そら豆もあります」(吉田さん)
鮮度を見極める決め手は「さや」
おいしいそら豆を選ぶコツを教えてください。
「そら豆は、特に鮮度が味に影響する豆の一つです。豆はさやから出て空気に触れると、急速に鮮度が落ちますので、まずさやごと売られているものを選ぶことが第一です。
次に、さやを観察してください。さやがきれいな緑色で、横に走っている筋が茶色くないものは鮮度がよいものです。また非常に鮮度のよいものは、さや全体に短いうぶ毛がびっしりと生えています。
これは出荷の途中で取れてしまう場合もありますが、うぶ毛が生えているそら豆は鮮度抜群なので、見つけたら即買っても良いと思います。
さらに、ポコポコと豆の形がくっきり見えるもの、さやを持った時にみずみずしさとさやの厚み、重みを感じるものは新鮮です。鮮度が落ちてくると、さやから水分が飛んで薄くなり、固くなっていきます。こういうものは避けましょう」(吉田さん)
お好みの食感はつめの色でわかる
そら豆は「つめ」が目立ちますが、お好みの食感の豆を選ぶには、このつめの色を見ればわかるようです。
「みずみずしく、軽い食感がお好きであれば、つめと皮の色が同じ緑色の未熟な豆を選びましょう。
逆にホクホクして煮ると粉をふくようなものがお好みなら、つめが黒いものを選ぶと間違いありません。
つめは緑色から徐々に黒くなっていきますので、お好みの色を覚えておくとよいでしょう。
ただし、未熟、完熟に限らず、味を落さないように豆は調理の直前にさやから出すようにしてください」(吉田さん)
そら豆には、タンパク質や糖質、美肌や疲労回復に効果があると言われるビタミンB1のほかに、貧血予防になる鉄分などのミネラル分も含まれています。今の時季だけ出回り、旬が短いそら豆をおいしく調理しましょう。
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