5月になり、ところによっては夏日や真夏日が記録されるなど、夏の猛暑に備えておく必要な時季になりました。自発的に汗をかいて暑さに体を慣らす暑熱順化(しょねつじゅんか)が推奨されていますが、他にも熱中症予防のために忘れてはいけない対策があるようです。
近づく夏本番に備え、いまの時季こそ「エアコンの試運転に適している」という、ダイキン工業コーポレートコミュニケーション室広報グループの重政周之(しげまさ・ちかし)さんにその理由などを解説して頂きました。
エアコンの試運転実施は46.6%
暑熱順化の大切さは近年、医療関係者などからアピールもあって多くの人が理解し、実行されるようになりました。
その半面、熱中症対策として有効とされるエアコンについては、実際に猛暑が訪れるまで、前のシーズンで使用を終えたままの状態になってしまいがちです。
「ダイキン工業が行った調査では、『汗をかくための入浴や運動に毎週取り組む人の割合』が全体の81.5%に達していました。ところがエアコンについては『試運転に取り組んだことがある人の割合』は46.6%にとどまっていました。
また、『暑熱順化を重要』と考える人が90.1%だったのに対し、『エアコンの試運転を重要』と考える人は58.3%でした。
夏場の暑さ対策にエアコンを使用している人は76.4%でしたが、エアコンが使えるかどうかを事前に確認している人の割合が少ないという傾向がみえています」(重政さん)
万が一に備えて油断は禁物
猛暑のなかでエアコンが不具合で使えないというのは“困った問題”どころか、命にかかわる可能性もあります。エアコンの不具合というのはどれほどの割合で生じているのでしょうか。
「急な気温の上昇が原因と思われる体調不良を感じた人が53.9%だったのに対し、夏場にエアコンを使えずに困ったという人は26.2%にとどまっています。
そのため、エアコンの試運転の必要性を感じにくい人も多いと思いますが、エアコンが不具合を起こす可能性は高くなくとも、油断は禁物です。
専門家の医師も真夏になったら暑さに慣れるよりも、暑さを避けることの大切さを訴えています。エアコンは涼しい環境を保つために必須のアイテムと強調し、早めの試運転を推奨しています」(重政さん)
今の時期に試運転が必要な理由
早めにエアコンの試運転が必要とのことですが、具体的にいつ頃が適当なのでしょうか。
「暑熱順化と同様に、まさにいま、5月が最適であるといえます。熱中症で緊急搬送される件数は、例年6月から9月に集中しています。
エアコンについての問い合わせや点検の依頼も6月頃から増え始め、7月と8月に集中します。
この2ヵ月間は依頼が5月の3倍にも達し、混雑によりエアコンの修理や取り付け工事をする人が一時的な人手不足に陥ることがあります。エアコンが必要な暑い時季なのに修理対応を待って頂くケースが増えてしまいます。
夏場のエアコンの不具合で、修理を依頼してから完了するまでに1週間以上待たされた経験のある人は、半数近い45.8%だったという調査結果もあります。
本格的な暑さが到来する前の6月前半までにはエアコンの試運転を行い、不具合が発生していたら早めに修理の手配などの対応を行うことをおすすめします」(重政さん)
エアコン試運転の手順・チェックポイント
エアコンの試運転はどのような手順で行えばいいのでしょうか。
「エアコンを動かす前に、まずフィルターが汚れていないか、室外機の周囲に物を置いていないか、電気プラグの周囲にほこりなどが溜まっていないかを確認してください。
エアコンが動かないと思ったら、リモコンの電池が切れていたり電源プラグがコンセントに差し込まれていなかったりしたことが原因だったことも少なくありません。
そのうえで、エアコンの設定温度を最低(16~18℃)にして10分ほど運転し、冷たい風がきちんと出てくるか確かめます。続いて、30分ほど運転します。エアコンの室内機には熱交換器が入っており、使用しているうちに結露して、その水分が室外に捨てられる仕組みです。30分間の運転は、これが室内にもれていないかを確認するために必要な目安です。
異常を示すランプが点滅していないかも確認してください。運転中に聞きなれない音や振動、不快な臭いなどが発生していないかにも注意しましょう」(重政さん)
ランプの点滅や臭い、異音の発生にはさまざまな原因があるそうです。異常が確認できたらためらわず、販売店やメーカーの相談窓口に連絡しましょう。
エアコンの試運転に最適な日は?
エアコンの試運転に最適なタイミングや条件はありますか。
「天気予報で報じられる気温と照らし合わせると、試運転に適した日がわかります。
気温23~25℃が『最適な時期』で、21~22℃が『適した時期』といえます。20℃以下の日は冷房運転が作動しなかったりすぐに止まってしまったりするので、試運転には『不向き』です。
26℃以上になると熱中症が心配される室内環境になってしまう可能性もあるため、『急いで実施』してください」(重政さん)
夏本番はもちろん、エアコンの除湿運転が必要な梅雨どきの前にも気温の高い日はあります。熱中症対策のために暑熱順化と併せて、エアコンの試運転も早めに行っておきましょう。
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