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道端で見かけた子ダヌキを「誤認保護」する事案が増えているとして、神奈川県自然環境保全センター(神奈川県厚木市)が注意を呼びかけている。
センターは5月12日、Twitterで次のように連続で投稿した。
「仔ダヌキの #誤認保護 の事案が増えています。 側溝の中で仔ネコのような声が聞こえ、真っ黒な動物の赤ちゃんを保護してしまうというケースです。でも、ちょっと待って!親ダヌキは戻ってきます」
「タヌキは側溝や縁の下など人間の生活圏の近くでも子育てをおこないます。親がエサ探しに出かけている間は子どもたちだけで残っています。 また、雨が降ったり、危険がある時は子どもを一匹ずつ順番に運び、別の巣へ引っ越していることもあります」
「人間が保護してしまうと親と引き離すことになってしまい、自然界で生きていく機会を奪ってしまいます。また、人間のにおいが付くと親が警戒して子育てを放棄してしまう可能性もあります。 見つけても触らず、そのままにしてください! #きっと親ダヌキは悲しんでいる 」
投稿には、「誤認保護」によってセンターに届けられたという子ダヌキたちの写真が添えられていた。
写真の子ダヌキたちは全身が黒く、両手に収まるほど小さな体をしている。子犬に見間違えそうなほどよく似ている。
「自然で生きる術は教えられない」
センターの自然保護課長・江指茂樹さんによると、4〜5月頃は繁殖期であることから、子ダヌキの発見や保護の相談などが例年増える時期という。
今回のツイートも、大型連休の終盤から連休明けにかけて、保護に関する相談が5件続いたことから注意喚起のために投稿したという。
「子ダヌキからすると親を待っている状態なのですが、『子犬が捨てられているんじゃないか』と心配になってしまう人も多いのです」(江指さん)
発見者が子ダヌキに触る前に連絡をした場合、センターは「拾わず見守りをお願いする」という。一方で、拾っててから数日たってしまうと、親ダヌキが同じ場所に戻ってくる見込みは低いため、センターで保護することになる。
ただ、一時的に保護できたとしても、いずれは自然に帰さなければならない。
「目も開かないほど小さいうちに親元から離してしまうと、親ダヌキの乳で育つことはできなくなります。人間がミルクを与えてもうまく飲めず、体力をつけることもできずに死んでしまうこともあります」
「仮に生き延びたとしても、エサの獲り方や危険な物からの身の隠し方など、自然で生きる術を人が教えることはできません。人間に慣れて道路に出てきてしまったり、民家に近づいて害獣として駆除されてしまったりする可能性もあります」
良かれと思ってした行動が、タヌキにとって取り返しのつかない事態にもなりかねない。江指さんは「かわいそうに感じ、助けたくなる気持ちはよく分かります」とした上で、「そこは堪えて、そっと見守ってあげてほしい」と呼びかけています。
「人間にできることは限られていて、親には敵わないのです」