ハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:2022年6月28日)
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「待って。気づかないってそれ。気をつけよ…」
そんなコメントとともにTwitterに投稿された写真が話題となっている。投稿から2日間で、3万件以上のリツイートや18万件もの「いいね」が寄せられるほど大きな注目を集めている。
写真は、玄関に置かれた黒色が基調のベビーカーに赤ちゃんが乗ったもの。一見、何の変哲もない光景に思えるが…。
「異変」があったのは、ベビーカーの下部にある、大きな荷物を入れるための「バスケット」。黒っぽい生地の収納スペースに、なぜか「目」がふたつ…。
よく目を凝らして見ると、そこにいるのは黒猫だった。
黒猫がベビーカーに忍び込んだことに気づいた人からは、「かわいすぎ」と絶賛の声が相次いだ。「既視感」「うちも同化してます」と愛猫家らも共感のコメントや写真を寄せた。
ハフポスト日本版は、写真を投稿した黒猫の飼い主、YuzzZ (3m)さん(@040328yzzzzz)に詳しい話を聞いた。
人間の外出時に「ぼくも!」
YuzzZ (3m)さんによると、ベビーカーに潜んでいたのは、7歳のオスの黒猫、やまとくん。学生時代、当時生後2カ月のやまとくんをアルバイト先の酪農家から引き取り、それから約7年間、一緒に暮らしているという。やまとくん以外にも、2匹のネコを飼っているそうだ。
ベビーカーの「異変」があったのは、ある日、夕飯の食材を買いにスーパーに行こうと準備していたときのこと。
外出前、ネコが3匹とも部屋にいるかどうか確認したところ、やまとくんだけ見当たらなかったという。あちこち探してみたところ、一緒にスーパーに連れて行く予定の生後3カ月の息子を乗せたベビーカーのバスケットで見つかった。くつろいでいたそうだ。
「普段からやまとくんは、人間が出かけようとすると『ぼくも!』と言いたげに玄関に待機しているので、ベビーカーに隠れていたのは『やまとくんらしい』と思いました。でも、我が家ではベビーカーを使い始めたばかりなので、バスケットでくつろいでいたのは初めてのことでした」
やまとくんは発見された後、ベビーカーから降ろされたという。
「ベビーカーがよほど気に入ったようで、出たくなさそうにしていましたが、降ろされた後はさすがに諦めていました」
人間と一緒に出かける夢は、今回も叶わなかった。
脱走の恐れ、入念チェックを
お茶目なやまとくんが生んだ、思わぬハプニング。一見ほっこりするエピソードだが、実は危険と隣り合わせだった。
「ネコをベビーカーに乗せたまま外出してしまったら、脱走してしまう恐れがあるので、気づいたときはとても焦りました。
ネコが脱走したら、外で事故に遭ったり、病気になったりすることがあります。そのまま見つからず、2度と家に戻って来ないこともありえます。そんなことになったら、後悔してもしきれません」
今後は、出かける前にはネコが部屋にいるかどうかの確認だけでなく、念のためベビーカーに乗っていないかどうかも毎回チェックするという。
「赤ちゃんは未知の存在」
YuzzZ (3m)さんの自宅では、やまとくんを含めた3匹のネコと人間の赤ちゃんが共同生活をしている。
「ネコにとって赤ちゃんは未知の存在のようで、ネコは赤ちゃんにあまり近づきません。でも、赤ちゃんが寝ているときにだけネコが近寄っていることがあり、そういった光景を見ると幸せな気持ちになります」
YuzzZ (3m)さんが赤ちゃんをあやしているときに、甘えたいやまとくんが近くに寄ってくることもあるという。
「あまり相手をしてあげられなくて、心苦しいです。ネコに触れあう時間が以前よりも減っているので、構ってあげられるように心がけたいと思います」
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉