「私たちは競技を頑張っているのに、カメラが狙うのはここ(お尻)ばかり」
そう嘆くのは、ビューティブランドLuxが4月に公開したグローバルキャンペーン動画に登場するアスリートとみられる女性。
スポーツにおける女性の地位が少しづつ高まる中、女性アスリートが性的に撮影される問題が多発している。メディアやその視聴者にこの問題を認識し、議論を広め、行動を変えるよう声を上げたのが、同社の「Change the Angle(カメラアングルを変えて)」キャンペーンだ。
この動画はYouTubeで誰でも視聴できるが、「あるプライベートな場所」に貼られたQRコードからもアクセスできる。...女性アスリートのお尻と胸だ。
南アフリカのダーバンで4月に開催された女子ビーチバレーボール大会で、Luxは地元のバレーボール協会とテレビ局の協力を得て、性的画像を目的にカメラを向けられやすいお尻や胸にQRコードを付けた。そのQRコードを読み込むと、このキャンペーン動画に誘導される仕組みになっている。
動画には複数のアスリートとみられる女性が登場し、この問題に苦言。お尻や胸元のクローズアップに「ねぇ、それは私のベストプレーじゃない」「こういう構図になるべきじゃない」と批判した。
また、性的な撮影の被害に遭うのは男性より女性の方が10倍も多いと述べ、「今こそ(カメラ)アングルを変えるべき」と力強く呼びかけた。
そして動画の最後には、メディア向けに6つの「Change the Angleガイドライン」が紹介された。
Luxののグローバルブランド・バイスプレジデントであるSeverine Vauleon氏はこのキャンペーンについて、「(こうした問題は)女性アスリートのプロとしてのパフォーマンスや功績を軽視するだけでなく、多くの女性が日常的に性的視されているという問題を永続させるもの」と懸念を示し、「Luxでは、美しさは強さの源であるべきと考え、スポーツにおいて、女性たちの強さ、スキル、功績の美しさを讃えることに焦点を当てるべきだと考えている」と声明で述べた。
女性アスリートが性的な目的で撮影される問題に関する議論は近年広がっている。
ドイツの女子体操選手は2021年4月のヨーロッパ体操競技選手権で、「女性アスリートが性的な対象として扱われていることへの抗議」として足をくるぶしまで覆う「ユニタード」を着用し、注目された。
また、ノルウェーの女子ビーチハンドボールチームは同年7月に行われたヨーロッパ選手権で、国際ハンドボール連盟のユニフォーム規定で定められているビキニパンツを拒否して短パンを着用し罰金を科され話題となり、ビキニユニフォームの義務付けに批判が起きた。その後、同連盟はユニフォーム規定を見直し、女子選手のユニフォームをタンクトップと短パンに変更した。