東京商工リサーチが4月17日、「人手不足」についてのアンケート調査結果を発表しました。回答した全国4445社のうち、66%の企業が「正社員不足」という結果に。特に資本金1億円以上の「大企業」に限ると73.2%となり、人手不足が広がっています。
ただ、状況は業種によって異なります。「正社員不足」な業種TOP1、2を占めたのは「運送業」。調査によると、「観光バスやタクシーなど道路旅客や貨物・物流業者のトラックドライバー、有資格者の充足を求める声が相次いでいる」ようです。
次いで、3位が「物品賃貸業」、4位が「総合工事業」、同率5位が「機械等修理業」と「宿泊業」でした。
一方、正社員が「過剰」な業種も。
「過剰」と答えた企業の割合が最も高かったのは「印刷・同関連業」(約26%)。続いて「広告業」「情報通信機械器具製造業」「繊維・衣服等卸売業」「輸送用機械器具製造業」という結果になりました。
調査によると、「印刷をはじめとした紙媒体は、長期に渡り需要の減少が続いてきたうえ、コロナ禍以降、催事等の減少やポスティングの自粛も影響し、受注環境は悪化している」と分析しています。
またアパレル関連については、人の流れが回復しつつある今も、「一部事業者を除き、受注面で精彩を欠く状況が続いている」ようです。
非正規雇用については?
非正規雇用について聞くと、57.5%の企業が「充足している」と回答しました。一方、非正規雇用が「足りない」業種は飲食店、宿泊、サービス、道路旅客運送。「過剰」な業種は正社員と同様の印刷関連と、状況は二極化しているようです。
東京商工リサーチはこの結果に対し、「運送、飲食、宿泊など慢性的に人手不足である業種が限定されているのと同様、過剰感のある業種も固定化しつつある」と指摘。
「人手不足の長期化は、企業の成長機会や消費創出の場を失う恐れもある。企業や業界単位ではなく、過剰感のある産業から需要や成長余地のある産業への雇用支援を図るなど、官民を挙げた実務的な対策も必要になっている」とコメントしています。