元「ジャニーズJr.」の男性が大手芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)から「性的被害を受けた」と記者会見で告白したことを受け、会見から1日後の4月13日夕方、NHKがニュース番組で放送した。
記者会見が開かれた4月12日から翌13日朝にかけてNHKをはじめとするテレビ局が会見について報道しないことから、「ジャニーズ事務所への忖度では」などと批判の声がネット上で高まっていた。
4月12日午前11時から記者会見を開いたのは、歌手のカウアン・オカモトさん(26)。
2012〜2016年までジャニーズ事務所に所属し、CDデビューする前のタレントの集団「ジャニーズJr.」の一員として活動した。この間、喜多川氏の自宅で「合計で15〜20回ほど、ジャニーさんから性的被害を受けた」などと説明した。
同日のオカモトさんの記者会見の開始直後、共同通信が同氏の主張について報じた。
NHKは4月13日午後4時台のニュース番組で「2016年までジャニーズ事務所で活動していた男性が、当時の事務所の社長で4年前に亡くなったジャニー喜多川さんに15歳のころから性的な行為を受けていたと会見で述べました」と放送した。
2019年に死去した喜多川氏が事務所に所属する少年への性的虐待に及んでいたとの疑惑をめぐっては、週刊文春が1999年に報じたものの、国内メディアは長く沈黙を貫いてきた。
2023年3月には、イギリス公共放送BBCが喜多川氏から性加害を受けたと主張する元ジャニーズJr.の男性ら複数の証言などを収録したドキュメンタリー番組を公開し、日本国内でも注目を集めた。
BBCで一連の取材を担当した記者は「週刊文春が記事を掲載したとき、その反響は予想外に薄いものだった」と指摘。その上で「テレビや新聞も少年たちの証言を無視した。喜多川氏に疑いの目を向けたくなかったようだ」と見解を述べた。
BBCによると、1999年の週刊文春の報道をめぐっては、喜多川氏とジャニーズ事務所が発行元の文藝春秋を名誉毀損で提訴し、争っていた。
日本メディアの沈黙についてはオカモトさんも4月12日の記者会見で言及。
「日本のメディアは残念ながら(喜多川氏による少年への性的行為の疑惑について)報じにくいが、外国メディアなら報じてくれるのではと思い、(外国メディア向けに)記者会見することにした」と説明していた。
ジャニーズ事務所は共同通信など大手報道各社の取材に「経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底、偏りのない中立的な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化等への取り組みを、引き続き全社一丸となって進めてまいる所存です」などとコメントしている。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉