「ジャニーさんのおかげで人生が変わったし、僕のエンターテイメントの世界を育ててくれた。
でも、15歳の僕に性的行為を行ったことは、悪いことだと思っている」
4月12日午前、元「ジャニーズJr.」で歌手のカウアン・オカモトさん(26)が東京都の日本外国特派員協会で記者会見し、大手芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)から「性的被害を受けた」と述べた。
オカモトさんは2012〜2016年、岡本カウアンとしてジャニーズ事務所に所属。CDデビューする前のタレントの集団「ジャニーズJr.」の一員として活動した。この間、喜多川氏の自宅で「合計で15〜20回ほど、ジャニーさんから性的被害を受けた」と説明した。
オカモトさんは自らが主張する被害について法的な措置は検討していないという。ただ、「事務所の今のトップらに、(喜多川氏の行為について)認めてほしい」と強調した上で、「ジャニーズだけでなくて、芸能界でそういうこと(性加害)がなくなる方向にいけたら」と述べた。
2019年に死去した喜多川氏が事務所に所属する少年への性的虐待に及んでいたとの疑惑をめぐっては、週刊文春が1999年に報じた。
2023年3月には、イギリス公共放送BBCがドキュメンタリー番組を公開し、日本国内でも注目を集めた。
番組では、喜多川氏から性加害を受けたと主張する元ジャニーズJr.の男性ら複数の証言などを収録。一連の取材を担当した記者は「多くの少年が証言している(喜多川氏による)性的な搾取を否定できない」とした上で、「(性加害の疑惑を)否定できない以上、解決が必要で、日本社会は行動を起こすべき」と強調した。
ただ、記者は「週刊文春が記事を掲載したとき、その反響は予想外に薄いものだった」と指摘。その上で「テレビや新聞も少年たちの証言を無視した。喜多川氏に疑いの目を向けたくなかったようだ」と見解を述べた。
BBCによると、1999年の週刊文春の報道をめぐっては、喜多川氏とジャニーズ事務所が発行元の文藝春秋を名誉毀損で提訴し、争っていた。
日本メディアの沈黙についてはオカモトさんも記者会見で言及。
「日本のメディアは残念ながら(喜多川氏による少年への性的行為の疑惑について)報じにくいが、外国メディアなら報じてくれるのではと思い、(外国メディア向けに)記者会見することにした」と説明した。
その上で、自らが入所した当時について「もしもメディアが(喜多川氏による少年への性的行為の疑惑について)取り上げていたら、大問題になるはずなので、親も行かせなかった(オカモトさんを入所させなかった)と思う」と話した。
ハフポスト日本版はオカモトさんの記者会見の前と後、同氏の主張についてジャニーズ事務所に見解を求める取材を申し込んだが、期日までに回答はなかった。
ジャニーズ事務所は共同通信など大手報道各社の取材に「経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底、偏りのない中立的な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化等への取り組みを、引き続き全社一丸となって進めてまいる所存です」などとコメントしている。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉