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性的マイノリティの子を持つ親有志が3月28日、東京都の参議院議員会館で、LGBT理解増進担当の森まさこ内閣総理大臣補佐官に、当事者の子どもたちの命を守るための法整備を求める要望書を提出した。
岸田文雄首相の前秘書官の性的マイノリティに対する差別発言を受け、現在議論されている「LGBT理解増進法」は差別禁止を明記しない理念法となっている。それに対し、親有志の要望は「性的指向や性自認を理由に、差別的取り扱いをしてはならない」と盛り込んだ法律の制定を求める内容だ。
インターネット上で募った法整備への賛同者は1858人に上り、LGBTQ当事者の親や友人、教師や医師らから早急な改善を求めるメッセージが寄せられた。同性愛者の子どもがいる有志の松岡成子さんは「子どもは大きくなるにつれて、親が守りきれなくなっていきます。今の社会では、打ち砕かれてしまう子も少なくありません。子どもの未来を守るため、差別禁止が必要です」と訴えた。
◆要望の内容は?
親有志と森補佐官との面会は、報道陣には公開されなかった。 有志は森補佐官に、性的マイノリティの子どもたちの命を守るために、「性的指向や性自認を理由とする差別的取扱いをしてはならない」と禁止規定を盛り込んだ上で、社会全体に対する理解を広げる法律の制定を一刻も早く実現することを要望。
また性的マイノリティの子どもたちについて▼社会の深刻な差別によって苦しみ、自ら命を絶ってしまう人もいる▼親や保護者にこそカミングアウトしづらい現状があり、家族から性のあり方を否定されてしまう人も少なくない、といった実情についても説明した。
面会後、有志でトランスジェンダーの子をもつ浦狩知子さんは「子どもたちは、本当に怖い思いをしていること、カミングアウトしたら一発でノックアウトされることも少なくない現状があることをお伝えしました」と説明。
松岡さんは面会について「森まさこさんは『国会の議論を見守る』という立場だと話されましたが、ご自身も保護者ということで共感はしていただけたように思います。法整備に賛同するLGBTQ当事者の親や知人らからのメッセージをお伝えし、『子どもたちに将来に対しての希望や安全みたいなものを用意してほしい』などと伝えた際には、涙を流し聞いてくださる一幕もありました」と振り返った。
◆「差別はしてはいけません、でも…」と前置きさえすれば何でも許されるの?親、友人、教師らからのメッセージ
インターネット上で寄せられた法整備への賛同メッセージの一部を掲載する(原文ママ、カッコ内は身近なLGBTQ当事者らとの関係性)。
・先日の立場ある方の差別発言には心底失望しました。あなた方は自分の子供が性的マイノリティでも同じことが言えるのですか?と。これからを生きていく子ども達の為に法整備を含め、生きやすい社会となるよう心から願います。(親)
・息子たちがどのような性的指向なのか今のところ分かりませんが、可能性があると感じています。堂々と生きてもらいたい、その為にも法整備は必要だと思っています。(親)
・当事者である幼い子供(未就学)ですら「次に生まれてくる時(生まれ変わったら)女の子で産まれるしかないよね?(性が一致した身体で)」と今の人生を諦めるようなこの世の中を優しい世界に変えて行きたいです。(親)
・8才のトランスジェンダーの子をもつ母親です。校長先生から「私の理解が追いついていない」と、差別を受けていました。結果的に学校に通えなくなり転校しました。「理解増進」などという生ぬるい法案ではこの国の人権差別は何も変わりません。是非とも、この国の子供たちのために、「差別禁止法案」を作ってください。平気で人を差別して苦しめるような人間ばかりの日本であっていいのでしょうか。トランスジェンダーは酷い言葉を浴びせられたり差別されても我慢しなければならない存在なのでしょうか?それは絶対に違います。誰一人、差別をされて良い人間などいないのです。この国も、他の先進国同様に法律で守ってください。どうか、よろしくお願い申し上げます。(親)
・「理解」という言葉に違和感を感じています。理解されようがされまいが、基本的人権は守らなければならないのに。法律で差別を明確に禁止することに強く賛成します!(友人)
・ゲイの友人が、自身の性的指向を家族に打ち明けられず苦しんでいました。今、こうして当事者の子を持つ親がこのような活動を立ち上げていることに大きな希望を感じると共に、強く賛同します。私も1人の大人として、子どもたちの命を守りたいです。(友人)
・トランスジェンダーをめぐる昨今の言論を見るに、「差別はしてはいけません、でも…」と前置きさえすれば後に何を続けても許される風潮があると痛感させられます。どのような事情、言い訳があろうと差別は差別であると拒む枠組みの必要性を感じています。(友人)
・学校現場でも、家族に打ち明けられず悩んでいる生徒がいます。教員の中でも、カミングアウトされていないことから、自分の学校には、いないと思っている教員もいます。一刻も早く法の整備をお願いします。(教員)
・世の中には正当な差別などありません。全ての差別は不当です。子どもたちが自己肯定感を持って暮らせるためにも、差別を容認しないという姿勢を明示した法律の制定を、是非ともお願いします!(教員)
・性別違和を抱える方の診療を行なっています。当事者の多くが学校生活に困難を感じており、中にはそれを理由に不登校となることも少なくありません。学校の対応にもバラつきがあるように感じます。この現状の早急な改善を求めます。(医者)
<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版>