パトリックに偶然遭遇したのは、最後に会ってから数年ぶりのことだった。
彼が妻のアイリーンと一緒に私の住む村に引っ越してきてから、すれ違えば挨拶を交わす程度の仲で、特に親しいわけではなかった。しかし、アイリーンが突然他界した後、彼は引っ越し、それから長い間会うことはなかった。
3年経った今、彼は元気そうでハンサムに見えたので、それを率直に伝えた。私はクリスマスプレゼントの買い物の最中だったので、イタズラっぽくお祝いのキスを求めた。軽い無邪気なキスのつもりが、相性が良かったのか盛り上がり、抱擁しながらの長く情熱的なキスに変わっていた。
1週間後、私たちは彼の家の暖炉の前で、最高の「夜の営み」をしていた。
私は当時49歳で、彼はそれよりかなり年上だとは思っていたけど、80歳だと聞いた時はさすがに驚いた。私の心を読んだのか、彼は「年齢が問題なら、諦めるよ」と言った。でも、私は昔から年上の男性が好きだった。
パトリックと私の夜の営みは、熱く、セクシーで、そして激しかった。後に彼は、その夜のためにバイアグラを処方してもらったと教えてくれた。私はすでに、年齢なんて全く気にならないほど彼のことをとても好きになっていたーー。
高齢者の夜の営みは、正直なところ笑いの的になることが多い。たるんだ体や物忘れ、性欲の喪失をネタにするジョークが溢れている。75歳以上の人が活発な夜の生活を楽しむという考えは、多くの場合、人に嫌悪感を与える。それは私の友人にとっても例外ではなかった。
「そんな話聞きたくない」と耳を塞ぐ友人もいたが、他の多くの友人は必要以上に知りたがった。
「彼は本当に勃つの?」ーはい。薬の助けが必要だから急にはできないけど、たいしたことではない。
「しわしわの体って嫌じゃない?」ーいいえ。彼は多くの50代の人よりいい体をしている。
そして私のお気に入りの質問が、「ベッドで一緒にいる時に彼が死ぬんじゃないかって怖くない?」ー私が好きな男性についてどうしてそんなことが言えるのか?
若い恋人には失礼と思われるような質問でも、高齢の彼に関してはただの冗談と捉えているようだ。ちなみにパトリックの心臓は、夜の営みの前も、最中も、後も、衰える気配はない。
もちろん、彼が永遠に生き続けるわけではないことは分かっているが、かといって彼の今の年齢に過剰にこだわる気はない。人生は不確かなものだし、もしベッドで死にかけるとすれば、それは私の方だ。彼との夜の営みは、それほどワイルドなのだ。
もちろん、対処しなくてはいけない問題もある。
パトリックはバイアグラに頼っているため、急に夜の営みを始めることはできない。彼の年齢的に射精は稀であり、私はよく罪悪感を感じる。それでも彼は十分幸せだと言ってくれるし、射精できた時はお互い嬉しくなる。彼には若い男性のような体力や柔軟性はないけど、それを言うなら中年の私にだってない。
徹夜で夜の営みをし続けることはないけど、前戯は尽きないし、色々試している。そして、彼との夜の営みには、若い男性からはめったに感じたことのない優しさがある。
高齢化が進み、かつてないほど健康に年を取るのが当たり前になってきた今、70代や80代になっても夜の営みを楽しんでいる人たちがいるという事実にそろそろ私たちも向き合わなければならない。
イギリスで2015年に実施された調査では、70歳以上の男性の半数以上、女性の約3分の1が性的に活発であると報告され、またそのうち3分の1の男女が月に2回以上夜の営みをしていると答えている。
この年代の男女は今や、まだ働き、世界を旅し、マラソンを走っている。彼らが活発な夜の生活を送っているからと言って、なぜ「汚い」などとの烙印を押されなければならないのか?なぜ私たちは両親や祖父母に性生活は存在しないと決めつけるのか?
バイアグラを簡単に入手できても、パトリックと私は遠くない将来、夜の生活に終わりを告げることになるだろう。彼は元気で健康だが、それがずっと続くとは思っていない。その時は、彼と一緒にそれを受け入れるつもりだ。
その一方で、今は私たちの体の関係を存分に楽しむつもりだ。統計上、80代まで生きる人が増えているのだから、老後の夜の営みも楽しむべきだ。「夜の営みに年齢制限はない」ということを、私の体験から伝えたい。
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ジェニファーはペンネームで、現在彼女は53歳です。
ハフポストUK版が読者から募集した夜の営みに関する特集を、翻訳・編集しています。様々なライフスタイルのストーリーを通じて、性にまつわる喜びや悩みをオープンに語り合おうという企画です。