日本人男性と海外で結婚したアメリカ人男性が、パートナーとして日本に安定して滞在できる在留資格を認めないのは憲法違反として国に「定住者」資格などを求めている訴訟で、控訴審の第1回口頭弁論が3月15日、東京高裁(森英明裁判長)で開かれた。
2022年9月の1審判決で東京地裁は原告、アンドリュー・ハイさんの請求を退けたものの、「特定活動」という別の在留資格さえ認めなかった国の対応は「客観的には違法」と判断。その後、2023年3月10日にハイさんは「特定活動」資格が東京入国管理局から許可された。
これに対し原告側は、「特定活動」は就労が制限されたり、強制的に国外退去されたりしやすいことを踏まえ、1審の要求と同じく「定住者」資格を求めている。
国側は一審で「日本では同性婚が法律上認められていないので、原告らが同性パートナー関係にあることは『定住者』(を付与するための条件)に該当しない」などと主張していた。
第1回口頭弁論の3月15日、法廷は支援者らによって傍聴席がほぼいっぱいの状態になった。原告側が意見陳述し、「愛する家族と一緒に暮らしたいだけ」(ハイさんのパートナーの日本人男性)、「たまたまゲイに生まれた、という人たちには、そんな『あたり前』がない」(ハイさん)などと訴えた。
ハイさんの代理人・鈴木雅子弁護士も、「性的指向を理由に、日本国籍者が、その外国籍パートナーと家族として日本で居住することが認められないのは、明確な憲法違反、国際人権法違反であり、差別であることは明らか」と指摘。
その上で、「日本国籍者と外国籍者のカップルが、同性か異性かにかかわらず、等しく家族として日本で暮らすという当たり前のことが認められるよう求めます」と述べた。
日本はG7で唯一、結婚の平等(法律上の性別が同性同士のカップルの結婚)が認められていない。次回の口頭弁論は5月31日午後3時に予定されている。