上田清司参院議員の男性秘書によって、取材活動中に埼玉県内で性暴力を受けたとして、元記者の女性が3月8日、国に損害賠償を求める訴訟を起こした。
男性は上田議員の公設秘書だったが、この性暴力での書類送検後に自殺したという。裁判では特別職の国家公務員である公設秘書による職務権限の濫用と、上田議員の監督権限不行使によって起きた性暴力だとして、国の賠償責任を問う。
元記者の女性が提訴に先立ち発表したコメント全文を紹介する。
経緯や訴えの内容はこちら。
【コメント全文】
本日はお忙しい中お集まりくださりありがとうございました。
わたしが提訴に踏み切った理由は、加害者に対する怒りもありますが、それ以上に、埼玉県で権力のある人が性に関する罪を犯しても加害者が守られ、被害者として理不尽に多々感じられることがあったからです。
関わってくださった捜査一課の刑事のみなさんは、加害者を起訴するために全力を尽くしてくださいました。 しかし、埼玉県警の全体的な姿勢として、捜査の進め方に疑問を感じる場面がありました。その後、加害者側の一方的な取材による週刊誌の報道によりわたしは、多くの人に誤解され、私自身の人格が否定されました。わたし個人で誤りを指摘した抗議文を出しましたが返信はなく、全く相手にされませんでした。勇気をもって、警察に被害届を出した結果がこのような方向に進んでしまったのは、言葉にも言い尽くせない苦しみを感じています。
『よくある話なのに、なぜ被害届を出したのか理解できない』『示談金をもらえばよかったのに』など政治家にも心ない言葉を言われました。
心の傷は、この3年間で回復しつつあると感じていながらふとした瞬間に、涙が流れます。
記者仲間の話の中で、取材相手から危険な場所に連れて行かれたり、体を触られたりする経験がある人もいると知りました。こうした行為自体がどれだけ相手を傷つける行為なのか、職場がもう少し安全になってほしいと願うばかりです。
わたしに不幸にして起こってしまった事件を自ら公にすることで同じ思いをする人が少しでも少なくなればという思いで提訴にふみきりました。それが、記者としての使命であると考えました。
自分が被害者なのに、加害者側の一方的な情報により、加害者を自殺に追い込んだ記者という見方をされて、3年間辛かったです。今回の提訴で、自分が被害者だということをみんなに分かってほしいです。