家賃値上がりのためアメリカ・テキサス州の高校で用務員として働かざるを得なくなった80歳の男性に、ゆっくりとした老後を過ごしてもらいたいと高校生たちが始めた募金活動に注目が集まっている。
男性はキャリスバーグ高校で働くジェームズさん。生徒たちが捨てたゴミを教室などから集めるのが主な仕事だ。アメリカでは物価上昇が続いており、ジェームズさんも家賃が1年前と比べて月400ドル(約5万5000円)値上がりしたため、2023年1月に再び働きに出ざるを得なくなったとKTENは報じている。
募金活動を始めたのは同校に通う3人の高校生。このうちの1人、グレイソン・サーマンさんは「廊下でジェームズさんを見たとき、胸が痛んだ」ときっかけになった出来事をKTENに語っている。一緒に行動を起こしたマーティ・ユスコさんは「自分のおじいちゃんだったらと考えた。私のおじいちゃんには窮地に陥ったときに手助けできる家族がいるけど、ジェームズさんにはもしかしたらいないのかもしれないと思った」とKDFWに話した。
ごみ収集カートを押して廊下を歩くジェームズさんの後ろ姿を撮影し、「私たちの80歳の用務員さんは家賃が値上がりしたため、再び働き始めないといけなくなりました。一緒に彼を助け出しましょう」というメッセージをつけた動画をTikTokにも投稿。これが多くの人の目に止まることになった。
24日までに8600人から計27万905ドル(約3700万円)ものお金が集まった。寄付した人たちからは、「80歳にもなって家賃を払うために働かせるべきではない」「素晴らしい老後をお過ごしください。行動に移した生徒たち、よくやりました」などのコメントが寄せられている。
ジェームズさんからの意向で募金サイトは24日をもって閉じられている。募金してくれた人たちに対し、生徒たちはサイトに「みなさんのおかげでジェームズさんは退職生活を楽しむことができます。ジェームズさんもみなさんが彼の人生を変えるためにわざわざ支援してくれたことに大変感謝しています」とお礼の気持ちをつづっている。