寒い冬場のこの時季、駐車中の車のエンジンルームに猫が入り込むトラブルが増加しているそうです。それに気がつかないままでエンジンを始動させてしまうと、猫がエンジンベルトなどに巻き込まれて生命が危険にさらされる可能性が高いことはもちろん、ベルトの切断や外れなど、重大な車の故障にもつながります。
JAFではトラブル予防のため、乗車前にエンジンルームに近い箇所のボンネットをやさしくたたいて注意をうながす“猫バンバン”の実践を呼びかけていますが、それだけでは万全の対策とはいえないようです。
エンジンルームに入り込んでしまった猫を車外へ出し、車の保全も完璧にするにはどうしたらいいのか。“猫バンバン”に加えて行うべき対策法などについて、JAFに伺いました。
猫トラブルは昨年1月に21件
2月22日は「ニャン・ニャンニャン」の語呂合わせから、日本では1987年に「猫の日」と定められています。一方でこの日の前後は、年間で最も寒い時季にあたり、猫が暖をとろうとしてエンジンルームに入り込んでしまう可能性も高まります。
猫にからむ車のトラブルは、どれぐらい発生しているのでしょうか。
「2022年1月1日から31日までの1カ月間の統計では、ドライバーから『エンジンルームに猫が入り込んでしまった』としてロードサービスを要請頂いたケースは、全国で21件でした。このうち、エンジン始動後に気づいて救援要請されたと明確にわかるものが、11件ありました。
トラブルは冬場に多いと思われがちですが、1年を通じて発生しています。また、猫だけでなくネズミやヘビが入り込んだり、鳥が巣を作ったりすることもあります」(JAF)
猫がエンジンルームを好む理由
猫はどうして車のエンジンルームを好むのでしょうか。
「エンジンルームが暖かいことばかりでなく、狭い場所も好む習性があるからです。駐車中の車のエンジンルームは暗く狭い空間のうえに風雨が入りにくく、さらに駐車場周辺は人間の行き来も多くありません。警戒心の強い猫にとっては安心できる場所のようです。
とくに体の小さな子猫は隙間に入り込みやすいので、子猫が生まれた直後なども気をつけるようにしてください。
エンジンルームに猫がいることに気づかないでエンジンをかけてしまうと、猫が驚いてパニック状態に陥ってしまう可能性があります。エアコンやパワーステアリングなど、機器のベルト周辺にいる場合は、そのまま回転部分に巻き込まれてしまうおそれもあります。
瞬間的な出来事なため、ドライバーが気づいたときは手遅れになってしまう可能性もあるのです」(JAF WEBサイトより)
猫の気配を感じたらどうする?
猫のいたましい事故を防ぐにはどのような対策法がありますか。
「エンジンルーム内に潜んでいる猫は、ドライバーが車内に乗り込んでも気づかないことがあります。ただ近づいただけでは事故を防止できません。猫に何らかの方法で人間の存在を知らせる必要があります。
まずは、ボンネットなどエンジンルーム付近をたたくことです。強くたたかず、ノックするようにやさしくたたくようにしてください。
たたいただけで出てくるかどうかは、猫によって個体差がありますので、万能とはいえません。たたいたあとに耳をすませて、猫の気配を確認します。猫の声や気配を感じたらボンネットを開けて、中までよく確認してください。
また、エンジンをかける前にクラクションを鳴らすことも効果があるといわれています。さらに、日常的に猫をクルマへ近づけないようにする対策も大切です。屋外に車を停めている場合は市販の猫避けグッズや、臭いなどで猫を近づけないようにする忌避剤(薬剤)を使う方法もあります」(JAF WEBサイトより)
万が一、ベルトへの巻き込みなどの事故が起きてしまった場合の対処は。
「自身による対処に困ったときはJAFに依頼するか、ディーラーや修理工場などに連絡してください。
猫を巻き込んだまま気づかずに乗り続けて、しばらく経ったのちにエンジン音の異変や異臭によって事故に気づくケースもあります。このような場合、エンジンに悪影響が出る可能性があります」(JAF WEBサイトより)
事故を防ぐためには、常に「エンジンルームなどに猫がいるかもしれない」と、意識し、車の周辺に異変がないかを確認しておくことも大切だそうです。“猫バンバン”を実践して、猫も人間も無事に楽しい「猫の日」を迎えましょう。
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