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「サッカーにはルールがある。しかしこれはサッカーを超える状況だ」
サッカーの試合中のある選手の行動と、それに対する主審の対応が世界中で賞賛されている。
本来禁止であるはずの行為が…
2月19日に行われたオランダリーグのアヤックス対スパルタ・ロッテルダムの試合。3点リードしていたアヤックスのガーナ代表モハメド・クドゥス選手が4点目のゴールを決めた。
クドゥス選手はゴールを決めた後、歓声の中自らのユニフォームを捲り上げピッチに跪き、両手をクロスして空に掲げた。ユニフォームの下のシャツには「R.I.P ATSU(安らかに、アツ)」の文字が書いてあった。クドゥス選手は2月6日に発生したトルコ・シリア大地震で犠牲になった、元ガーナ代表で彼の友人でもあったクリスチャン・アツ選手の追悼をしていたのだ。
アツ選手は地震発生後2週間ほど行方不明となっていて、2月18日に倒壊した建物の瓦礫の下から亡くなった状態で発見された。31歳という早すぎる彼の死を受けてクドゥス選手を含め多くの人が哀悼の意を示した。
クドゥス選手の行った「得点後にユニフォームを脱ぐ」という行為はサッカーのルール上で禁止されていて通常ならイエローカードの対象となる。しかし、この試合の主審、ポル・ファン・ボーケル主審がイエローカードを出すことはなかった。その代わり彼の肩に手を置き、話しかけた。
クドゥス選手とボーケル主審は何を思っていたのか
クドゥス選手は試合後のESPNとのインタビューでこう語っている。
「みんなトルコで何が起こっているかは知っているはずだ。クリスチャンが私にとって近い存在だからこれをしようと思ったが、今回の地震で影響を受けた全ての人のためでもある」
ユニフォームを脱いだ後、ファン・ボーケル主審に何を言われたのかを尋ねられると「(サッカーのルール上)許されることではないが、これはサッカーを単にプレーするよりも大きなものだと言われた。この状況や世界で起こっていることに理解を示してくれたボーケル主審には敬意を払いたい」と説明した。
インターネット上では2人の行動を賞賛する声がたくさんあがっている。
トルコ・シリア大地震の現状
2月6日の地震発生から2週間以上経ったが、余震が続きまだ安心できる状況ではない。BBCによると、20日には、マグニチュード6.4の地震がトルコ南部を再び襲った。地震の影響で亡くなった人はトルコとシリアを合わせて4万人を超えているという。
日本からは、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンや、国連難民高等弁務官事務所による緊急支援に寄付するなどして、地震の被害にあった人々を支援することができる。