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アメリカのアーティスト、ジェフ・クーンズ氏の彫刻「バルーン・ドッグ」が、アートフェアの来場者によって倒され、粉々になった。
バルーン・ドッグは、クーンズ氏の代名詞とも言える作品だ。
風船をねじって作られているように見えるが、壊れた2021年の作品「バルーン・ドッグ(ブルー)」は磁器製。4万2000ドル相当(約560万円)の価値があるという。
会場の空気が止まる
作品は2月16日、アメリカ・フロリダ州で開催されていたアートフェア「アート・ウィンウッド」の会場で来場者が誤って倒し、破壊された。
このブースを管理していたセドリック・ボエロさんは、彫刻が壊れた時のことを「粉々になる音が響き渡り、部屋中の人たちが会話が止まった」とNPRに振り返っている。
また、会場に居合わせたアーティストでアートコレクターのスティーブン・ガムソン氏は、壊れた時の動画をInstagramに投稿。青い作品のカケラが、ほうきで回収される様子が映っている。
▼スティーブン・ガムソン氏のInstagram投稿。動画は4枚目
ガムソン氏は「今まで見た中で最もクレイジーな出来事だった」とInstagramにつづっている。
さらに作品を倒した女性について「本物の風船かどうか確かめるために触ったように見えた」とマイアミ・ヘラルドに話している。
壊れたことで価値が上がった?
クーンズ氏はアート市場で注目されてきたアーティストであり、2013年には「バルーン・ドッグ(オレンジ)」が5840万ドル(約64億円)、さらに2019年にはステンレス製のウサギの彫刻が、9107万ドル(約100億円)で落札されている。
今回壊れた2021年の彫刻の価値も4万2000ドルと高い値段がつけられているが、保険でカバーされるという。
さらに、破壊されたことで作品の価値が高まったと考える人もいる。ガムソン氏は「壊れた作品を購入しようとした」とInstagramで明かした。
同氏はその理由を「壊れたことは私にとってストーリーです。このアートをさらにユニークなものにする」とマイアミ・ヘラルドに述べている。