「私はがんから回復した。でも、性生活は崩壊した」【セックス・ダイアリー】

私は夫を愛しているが、その衝動はないのだ。
Huffpost UK
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私は2015年の7月に、ステージ3の乳がんだと診断された。私にはがんの家族歴や危険因子は一切無かった。運動もよくする方だし、医師だったので、どんな兆候に気をつけるべきかも分かっていた。

半年前にも同じ側の胸に嚢胞(のうほう)ができていたため、当初はこのしこりもまた嚢胞ができただけだと思っていた。しかしそうではなかった。化学療法の後、乳腺切除の必要があった。このしこりは13センチあり、がんはリンパ節に転移していた。

放射線治療を終えて、ホルモン療法を受けたが、2018年5月に胸壁に再発した。さらに外科手術、放射線治療を受けて、卵巣は摘出された。再び回復して1年になろうとしているが、一旦がんがなくなると、やはり人生を取り戻す方法を模索しようとすることになる。そしてセックスは、この中で重要な位置を占めている。

私は「更年期」を2度経験し、化学療法により妊娠できなくなり、性生活は崩壊した。外科手術の前、私の胸にあったしこりを、パートナーはセックスの最中、触れていいのか、いけないのかどうか分からなかった。治療により私の髪、まつげ、眉毛は抜けてしまった。これらは全て、女性らしさやセクシーさを形作ってきたものだ。パートナーは、私の毛の抜けた頭に触れ、わざわざ私にがんについて思い出させるべきなのだろうか。

今や私には乳房が1つだけしかなく、見たくない傷がある。私はセクシーなブラを付けて、色っぽさを感じることもできない。自分が干からびて、しなびた80歳であるかのように思える。

化学療法は、一夜にして閉経を引き起こす。ベッドで初めてほてりを感じたときは、おねしょをしたかと思った。とても暑かったから、夫にハグしてもらいたくなかった。それから性的衝動は消え失せた。パートナーのことを魅力的だと感じるが、肉体的に興奮しない。

かつては感じていた性感帯はどうか。... 一切感じない。首の後ろを撫でられるのもいいけど、それならお茶を飲むことだって同様に素敵な時間だ。

エストロゲンは自然の潤滑剤。私の子宮は摘出され、エストロゲンが分泌しないようにする錠剤を飲んでいるので、閉経後の多くの女性たちのように、セックスには痛みが生じる。その気になったときでさえ、膣は乾燥していてきつくなっている。

私はTwitter上で他の患者とやり取りして、再びセックスをする方法を学んだ。ありとあらゆる手段が不可欠だ。小型のバイブレーターと膣拡張器、膣のエストロゲン補充ペッサリー(骨盤臓器脱の矯正器具。避妊にも使われる)に、潤滑剤が有効だ。

しかしこれは、セックスが自然な流れで起こらないことを意味する。セックスをすることはできるけど、衝動に駆られたセックスはできない。また、自分から誘わなくてはならないことが多い。夫はセックスを提案したら、私が傷付くかもしれないと恐れているからだ。

私たちが結婚してわずか数年で、がんが発症した。人は病めるときも、健やかなるときも共にすると誓うけど、病めるときが来るなんて決して考えない。どうすることもできない重い罪の意識がそこにある。私はあと10年で死ぬかもしれないし、パートナーはそんな私と一緒になるとは予想できなかっただろう。

夫に離婚して健康な性的衝動を持つ普通の女性と結婚してもらいたい、と望んでいる他の女性たちと話したことがある。私も同じことを言ったことがあるし、半分本気だった。夫と妻ではなく、ただの同居人になってしまうのはとても容易だ。セックスが結婚を続けていくための鍵となることは多く、私たちも取り組んでいるけど、難しい。セックスを計画し、実際にやろうとした時に上手くいくことを願うしかない。

私にとって最も辛いことの1つは、テレビに映っているカップルが夢中になって、熱く狂ったようなセックスをしているのを見ること。これは私にはもう2度と起きないことだと分かっているから。正直、もう2度とセックスをしなくてもかまわないとさえ思っている。私は夫を愛しているが、その衝動はないのだ。これが、がんが私たちにしたことだ。

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セックス・ダイアリーは、ハフポストUK版に読者から無記名で寄せられたセックスに関するストーリー。ハフポストUK版に掲載されたものを、翻訳・編集しています。様々なセックスにまつわるストーリーを通じて、性にまつわる喜びや悩みをオープンに語り合おうという2019年の企画です。

※もしセックスについて悩んでいる場合は、女性は産婦人科、男性は泌尿内科、思春期であれば思春期外来のある病院にご相談する事をお勧めします。