正式名称「磯辺海苔男」ーー
とある保護猫につけられた名前がTwitterで公表されると、瞬く間に大きな注目を浴びた。
なぜ、海苔が猫の名前として採用されたのか。なぜ、猫なのに苗字があるのか。謎が謎を呼ぶ名前がつけられた理由は……
白い毛並みの猫の頭にまるで張り付いている海苔のように見える、黒い長方形の模様。
あまりにもユニークな風貌に、Twitter上では「ピッタリなお名前」「ネーミングセンス最高」「海苔乗ってるよ?って言ってあげたい」などと反響が広がった。
ハフポスト日本版は、“海苔付き”の珍しい風貌の磯辺海苔男くんを保護して写真などをTwitterに投稿した愛知県岡崎市の和菓子店「櫻園」(@sakuraneko2222)の担当者のマリリンさんに、詳しい話を聞いた。
「海苔男くん」と呼びかけると…
磯辺海苔男くんは、推定7歳前後のオス猫。1月31日の昼頃、国道沿いをヨロヨロと歩いている海苔男くんを見かけたマリリンさんは、弱りきっている様子から、すぐに保護しようと決めたという。
「以前からボロボロの状態で外を歩いている海苔男くんを見かけていたので、いつか保護できたらと思っていました。
見かけたときには、海苔がぺったりと張り付いたかのようなユニークな柄を二度見してしまうこともありました」
保護した直後は、人を怖がっていたという海苔男くん。
「これでは人に馴れるのに相当時間かかるだろうと思っていました。ですが、翌日には”ゴロゴロにゃんこ”に変身しました。まるで保護されるの待っていたのかと思えるほどで、びっくりしました」
現在は、猫の飼育に慣れているマリリンさんの知り合いに預けられているという。
「海苔男くんはよくコタツでゴロゴロしているそうです。 窓の結露を舐めるのも海苔男くんのお仕事の1つだそうで、毎日必死に舐めているそうです」
磯辺海苔男と命名したのはマリリンさんだ。
「頭に海苔のような模様のある猫なので、『海苔男』とだけ名付けるつもりだったのですが、私の娘が『磯辺餅みたいだから、磯辺海苔男がいいよ』と言うので、苗字もつけることになりました」
保護した直後から、「海苔男くん」と呼んでいるという。
「今では呼びかけると『ニャー』と返事をしてくれるので、自分の名前をちゃんと分かっていると思います」
マリリンさんは櫻園を営む一家の次女。約20年前、病気で瀕死の状態にあった子猫を櫻園の一家で保護したことがきっかけで、猫を保護する活動を始めたという。
「その子猫の弱った姿が忘れられず、屋外で猫が生きていく過酷さを思い知りました。 少しでも不幸な猫が減るようにとの思いで、保護活動を続けています」
保護した猫とは、和菓子店から離れた別の住宅で暮らす。今までに保護した猫は約230匹。そのうち約200匹に里親さんが見つかり、引き取られたそうだ。
櫻園の店頭では、手作りの猫用の首輪やおもちゃなどをチャリティーグッズとして販売し、猫を保護する活動の費用に充てているという。
「猫との暮らしは、家族の中で毎日のように笑いが起きるほど楽しくて、いつも癒されています。 もう猫の居ない生活は考えれません」
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉