BTSのおかげでルーツを愛せるようになった。私たち韓国系アメリカ人家族の物語

BTSは多くの韓国系アメリカ人に、移民である自分たちの文化や愛する人々と繋がり合う機会を与えている。
BTSの写真を持つファン(記事に登場する人物とは関係ありません)
BTSの写真を持つファン(記事に登場する人物とは関係ありません)
Kim Hong-Ji via Reuters

「K-POPを変えたグループ」「K-POPの覇者」「世界最大のボーイズグループ」

これらは韓国の7人組グループBTSを評するために使われるフレーズのほんの一部に過ぎない。

この数年にわたり、JIN、SUGA、J-HOPE、RM、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人は世界中の音楽チャートを席巻し、ツアーも完売。さらには国連やホワイトハウスを訪れ、外交を担う存在になった。

しかしBTSが特別なのはそうした功績や賞賛以上に、多くの韓国系アメリカ人に、移民である自分たちの文化や愛する人々と繋がり合う機会を与えている点だ。

若い頃には押さえつけていた祖国の文化

「3歳でアメリカに移住してから、私は祖国の文化やアイデンティティの一部を同化させ、押さえつけ、頭の片隅に追いやってきました」

そう話すのは韓国系アメリカ人のスー・キム・フェッターさん、49歳。14歳と16歳の子どもの母親でもある。

若い頃には韓国という自身のルーツである文化を「自ら取り除いていた」というフェッターさんだが、年を重ねBTSと出会ったことで、それが変わった。

「BTSが私の目を開かせてくれたことで、私は韓国の文化を再発見することができました。なんて新鮮なんだろう。これは新しい。そう感じました」

フェッターさんはそうした思いを子どもたちにも伝えると、BTSを共通点として家族で多くの時間を一緒に過ごすようになった。

家族でライブに行き、家では一緒にキンパなどの韓国料理を作った。16歳のマッデンさんはBTSの韓国語の歌詞にあわせて歌い踊り、14歳のジョージアさんはBTSに関するアートを描いている。

「韓国という国の存在はもちろん知っていました。でも、それだけでした。しかし、BTSを知ってからは『お母さん、これはどういう意味?』『韓国語でなんて言うの?』そういう会話が生まれました」(ジョージアさん)

「初めてBTSのパフォーマンスを見た時、『わあ、彼らは韓国から来た人たちなんだ。歌って踊って、なんてかっこいいんだろう』と衝撃を受けました。BTSを通して、自分の文化とは何なのかという好奇心が沸いて、もっと学びたいと思うようになりました」(マッデンさん) 

「BTSは私たちの生活の多くに影響を与えています。言葉にせずとも一体感を感じられるようになりました」(フェッターさん)

母との会話の障壁になっていた韓国語

38歳のジー・スー・キムさんは、6歳の時にアメリカにやってきた。若い頃はあまり韓国語を使わず、韓国語で話しかける母親に英語で返していた。

しかし2019年、ビルボード・ミュージック・アワードで初めて見たBTSのパフォーマンスに釘付けになり、すべてが変わった。

世界的にセンセーションを巻き起こすBTSが、アメリカの人気トーク番組で韓国語を話し、自分たちの文化を堂々と受け入れている姿を見て、キムさんは母親と話す時に障壁となっていた韓国語を、学び直したいと考えるようになったのだ。

「欧米のメディアで韓国のボーイズグループが紹介されることがどんなにすごいか母に伝えたいと思いました。『こんなことが起こるなんて信じられない』と」

その後は、キムさんだけではなくキムさんの母親もBTSのメンバーの名前を覚えるようになり、2人の間にはたくさんの会話が生まれた。

「私と母が話す時、そこにはいつもBTSの存在があります。BTSについて話すことは、他の話題について会話をするきっかけを作る方法でもあるんです」

10歳年下の妹。距離を縮めたのはBTSだった

24歳のクリスティーナ・ロウさんは、10歳年下の妹ブリアナ・ソンさんをとても可愛がっていた。大学進学をきっかけに離れて生活するようになったが、卒業後故郷に戻り、再び連絡を取り合うようになった。そのきっかけになったのがK-POPだった。

「ある日車に乗っている時、ブリアナに『BTSって知ってる?好き?』と聞いてみたんです」

ブリアナさんは小学生だった2017年からK-POPのファン。姉がBTSに興味を持ったことをきっかけに2人の距離は縮まった。

「クリスティーナがBTSに興味を持った時、私は『もしよかったら、私の好きなグループについても教えてあげるよ』と言いました」(ブリアナさん)

その後、クリスティーナさんはブリアナさんを初めてのK-POPライブに連れていくことを決めた。それが、2021年11月にロサンゼルスで行われたBTSの2年ぶりの有観客ライブ「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE」だった。

クリスティーナさんとブリアナさんは、ライブの日のことを笑顔で振り返る。

「妹はとても幸せそうでした。彼女の叫び声なんて聞いたことなかったけど、ライブ中の叫び声はかなり刺激的でした」(クリスティーナさん)

ブリアナさんにとって姉は「親友」でもある。一緒に参加したことで、そのライブは「人生を変える特別なものになった」という。

「大好きな妹と絆を深め、一緒にBTSの大ファンになったことは、言葉にできないほど最高な経験。とても素晴らしく魔法のようなことだと感じています」(クリスティーナさん)

※この記事はハフポストUS版を翻訳・編集しています(取材=Ellen Lee、翻訳=Yuki Wakata)

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