パリス・ヒルトンが1月、夫との間に男児が誕生したと報告した。People誌によると、代理出産だったという。
彼女だけではない。ここ数年、海外セレブが代理出産を通じて子どもを授かるニュースをよく耳にするようになった。リアリティー番組スターのキム・カーダシアンや、その妹クロエ、10年以上前にはニコール・キッドマンも代理出産を通じて家族を増やした。
同性パートナーとの交際を公表していた俳優レベル・ウィルソンもその1人。彼女は出産発表の際、「関わってくれた全ての人に永遠に感謝します。このために何年もかかりました。でも特に、気品を持ちつつ丁寧にお腹の中で娘を育ててくれた素晴らしい代理母に感謝したいと思います」
「私が自分の家族を築くのを助けてくれました。素晴らしいギフトをありがとう」と述べた。
実際、代理出産をするのはどのような感じなのだろうか?
スコットランドのグラスゴーに住む44歳のリサ・チャールウッド・グリーンさんは、2019年に代理出産をした。
チャールウッド・グリーンさんは、妻との間に2人の息子がいる。男性の友人が精子ドナーになってくれたお陰だった。彼女はその優しさの恩返しをしたいと考え、「他のゲイ男性が家族を持つのを助けたい」と思ったという。
代理母がよく聞かれる質問が、「赤ちゃんに愛着が湧いてしまうのではないか」という懸念だ。しかしチャールウッド・グリーンさんにとって、それは問題ではなかったという。
「代理母には、ある特定の人しか適しません。私たちはとても現実的で、妊娠も実践的に扱います。赤ちゃんのことは大切に思っていましたが、愛着は湧きませんでした」
その感情は出産後も変わらなかったと話し、「自分の息子の妊娠中は、出産前はあまり絆を感じませんでしたが、出産後すぐに愛着が湧きました」と述べた。
代理出産は緊急帝王切開となり怖かったというが、「でもその後、赤ちゃんが無事に生まれ、カップルのためにとても嬉しく感じました。私はちょっと図々しかったかも。赤ちゃんがどんな顔をしてるのか見たかったし、大きい子と予想されてたから、体重も知りたかった。でも抱くことは望みませんでした」と話した。
43歳のアニー・ペヴェルさんも以前、代理出産をした経験がある。自分の子どもはいなかったが、妊娠・出産がどういうものなのだろう、と思っていたという。そこで彼女は代理母に登録し、体外受精で妊娠した。
「私は母親(代理出産を依頼した)が赤ちゃんと見つめ合っているのを見ました。手術室で出産したので、彼女のパートナーは中に入れなかったんです。だから、早く赤ちゃんを父親に会わせてあげたくて、彼女に『すぐパパのところに連れてってあげて』と伝えました。赤ちゃんが初めてskin to skin(肌と肌を合わせるカンガルーケア)するのは私ではなく、両親であって欲しかったから」
ペヴェルさんは、今でも時々その家族と交流があると言い、その赤ちゃんをお腹の中で育てられたことを誇りに思うと語る。
「カップルが赤ちゃんに会って溺愛する姿を見るのは光栄なこと。あの感情は言葉では言い表せません」
日本では代理出産の法整備が進んでいない。日本産科婦人科学会が2003年に出した見解の中で「代理懐胎の実施は認められない」としたことなどから、国内の医療機関は自主規制しているのが現状だ。
2020年に生殖補助医療法は成立したが、代理出産については「2年をめどに検討する」とし、2023年1月現在もまだ決まっていない。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集・加筆しました。