イギリスの航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は1月6日、約20年ぶりに新しい制服を発表した。2022年9月には、ライバル会社のヴァージン・アトランティック航空が先陣を切って、従業員の性別に応じた制服の着用義務を撤廃するなど、英航空会社では次々と制服や服装規定に関する改革が進んでいる。
ブリティッシュ・エアウェイズ航空は2022年、性別にかかわらず化粧やひげ、アクセサリー、マニキュアなどを自由に楽しめるようにするために服装規定を改正した。それに続き今回は伝統的な制服からそれぞれが「選択可能」な制服へと変化を遂げた。
航空会社初となるジャンプスーツも登場
新しい制服では、男性はテーラードスリーピーススーツやレギュラーフィットとスリムフィットスタイルのパンツを選択でき、女性はドレス、スカート、パンツのいずれかを選択することが可能になった。そして、航空会社初となるジャンプスーツが登場し、新しい制服用にチュニックやヒジャブなども作成され。
新しい制服を作成したのは、オーダーメイド紳士服のメッカであるサヴィル・ロウでファッションデザイナーとして活躍するオズワルド・ボーテングさん (OBE)。
「私の主な目的の一つは、ブリティッシュ・エアウェイズの同僚に語りかけ、彼らのために何かを作ることでした。ブリティッシュ・エアウェイズの同僚に語りかけ、力を与え、誇りを持って仕事をするよう促すもの、そして何より、彼らの目に留まり、耳に届くようなものを。ブリティッシュ・エアウェイズは強い伝統を持つ航空会社ですが、時代を超えて、変化と超越という新鮮な物語を創り出すサポートが不可欠でした」
オズワルドさんは2018年から新しい制服の開発を行った。彼は航空会社で役割を担う同僚たちと時間を共に過ごし、空港で働く人々の役割を見学。そして、制服が各仕事でどのように機能する必要があるかを理解し、手入れが簡単な高品質で弾力性のある生地でモダンな英国式のスタイリッシュな外観を取り入れたという。
新しい制服を着て目立たないように航空機の整備を…
ブリティッシュ・エアウェイズ航空では過去4年間、1500人以上の従業員が50のワークショップに参加し、デザインのワークショップから試作品のフィードバックや試用まで、衣服の適合性を確認するなど航空会社全体で制服の開発を支援していた。
さらに、各衣服が目的に合っていることを確認するため、上空と地上で秘密のテストが行われていたという。客室乗務員の制服は、ヨーロッパ中の貨物便で試用されたが、エンジニアはマンチェスターとコッツウォルズ空港で、新しい制服を着て目立たないように航空機の整備をしていたと記されている。
ブリティッシュ・エアウェイズの客室乗務員で、秘密のテストに参加した1人であるエマ・キャリーは、次のように話している。
「試作品のフィードバック後に制服の調整が行われたことを確認できて良かったです。たとえば、エプロンのポケットは試用後に広げられたため、機内での食事サービス中に必要なものすべてを収納できるスペースが増えました」
新しい制服に使われる素材の90%以上はリサイクルポリエステルで、持続可能な生地を使用し製造されている。新しい制服は2023年の春から夏にかけて3万人を超える航空会社の従業員が着用する予定となっている。
そして、この新しい制服を受け取る際には、これまで着ていた制服を手渡すことになっている。これらは慈善団体に寄付されるか、リサイクルされておもちゃやタブレットホルダーなどを作成し、多くのアイテムが航空会社の博物館に贈られるという。