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今年も始まった箱根駅伝で、かつて恒例となっていたフリーザ軍団による沿道応援。
コロナ禍での開催となった2021年からの2年間は、主催者から現地での応援自粛が要請されたため、軍団は現れなかったようだ。
2019年と2020年に軍団に混じって沿道応援をしたシャケーザさん(@youkaininngenn)は、“自粛期間中”は自宅から応援配信を続けた。
シャケーザさんは、一緒に応援配信をした最側近ザーボンさんことジュリパンちゃん(@xxPinkieSweetxx)に、深く感謝していた。
箱根駅伝に関わるきっかけを作ってくれた人物だからだ。
ハフポスト日本版は2人にインタビューし、当時のエピソードや、『沿道応援のNG例』動画をつくる理由などについて聞いた。
「一緒に行きませんか?」と鶴見中継所へ
「一緒に行きませんか?」
ザーボンさん(ジュリパンちゃん)がフリーザ様(シャケーザさん)を誘ったのは、2018年の箱根駅伝だ。
当時のシャケーザさんは、箱根駅伝や復路の二宮中継所(7区)で活躍するフリーザ軍団に対して「憧れはあったけど、お正月にテレビで見る程度」だった。
一方のジュリパンちゃんは、箱根駅伝応援の常連。
大学時代はチアリーダーとして、中継所などで母校の選手を応援したほか、卒業後もOGOBの集まりでたびたび現地に赴いていた。
ジュリパンちゃんに鶴見中継所に連れ出されたシャケーザさん。初めての沿道応援で、走り抜ける選手たちの姿に驚いた。
「『はあはあ』という息遣いが目の前で感じられて『なんだこれは』と。この人たちは今までどんな努力をしてきたんだろう」
「今までテレビ越しだったものが、目の前にリアルで感じて『単純に頑張っている人を応援したい』という気持ちにさせられたんです」
感動と同時に後悔も込み上げてきた。
「『なんで(フリーザ軍団に)会いに行かなかったんだろう。こんな近くまで行ったのに』というモヤモヤもあって、次の年はいてもたってもいられなくなって、夜な夜な自転車を漕ぎだしたんです」
そして2019年の箱根駅伝。
飛び込み参加しようと、恐る恐る現地に向かったシャケーザさんに対して、フリーザ軍団は「シャケを被ってるやつが来た!」と面白がって迎えてくれた。翌2020年も一緒に応援した後、1年後の再会を誓ったが、コロナ禍で自粛を余儀なくされた。それ以降は連絡が取れていない。
自粛はコロナ防止とフリーザ軍団へのリスペクト
フリーザ軍団は、毎年1月3日の復路7区の二宮地点(押切橋付近)に現れていた。その年流行ったダンスを交えた応援で、10年以上も駅伝ファンの注目を浴びている。
コロナ禍開催となった2021年と2022年は、いずれの大会でも姿は確認されておらず、現れなかった様子だ。
シャケーザさんも両大会、主催者が自粛を求めたことを受け、沿道応援に行かなかった。
コロナ感染拡大防止のために加えて「僕らが2年間自粛し、応援配信をしたのは、フリーザ軍団さんへのリスペクトからでもあります」と語る。
「(コロナ禍に)わぁっと自分らコスプレイヤーたちが集まったら、『フリーザ軍団は目立ちたいだけで迷惑』となってしまう。彼らが10年間続けてきた活動を台無しにしてしまうのは本当に嫌でした」
この2年の応援配信について、フリーザ軍団からどう思われているのか不安な気持ちもあるが、シャケーザさんはこう願っている。
「ちゃんと『自分たち(フリーザ軍団が大切にしてきた)のことを理解して行動しているんだ』と、好意的に思ってくれていたらすごい嬉しいです」
再会できたら、単独行動を“許してもらえるか”確認したいと考えている。
『沿道応援のNG例』動画をつくる理由
今大会、マスク着用や声出し応援は控えるといったルールの下、3年ぶりに沿道応援が可能となった。
シャケーザさんは「フリーザ軍団さんが繋いできた『選手たちを応援したい』という気持ちを我々も持っている」と、ユニット「SHAKE HEAD」を組む相方の瀬尾にゃんさん(@seo0506)とジュリパンちゃんの3人で、現地応援しようと考えている。
ルールを守って応援する姿勢を示すため、主催者が発表したルールを周知する動画を配信するという。
「解禁されたからといって、ノーマスクや大学名入りの旗を振って応援していたら『目立ちたいだけ』と言われてもしょうがないと思います。この2年してきた行動を継続し、ちゃんとルールを守って応援していることを示したいと思い、動画を作ることにしました」
NG行動を実演形式で紹介するという内容で、沿道応援を考えている人らに注意喚起するという。
フリーザ様とザーボンさんの注目は?
箱根駅伝はどんな点に注目して観戦するのか。
シャケーザさんは注目選手として、中央大学の吉居大和選手(3年)と吉居駿恭選手(1年)の兄弟ランナーをあげる。
大和選手は前回2022年の箱根駅伝で1区を走り、区間新記録を打ち立てた。
「兄大和選手もすごいのですが、弟駿恭選手も(10000メートルの自己記録が)ほぼ同じタイムで、めちゃめちゃ早いんです。ずっと兄弟で切磋琢磨して、ライバルというか一選手として競い合ってきたからこそのドラマがある」
ジュリパンちゃんは、早稲田大学を応援しているという。
早稲田大は3年ぶりにシード権を落とし(※)、予選を4位で通過。ジュリパンちゃんは、予選後の選手たちのコメントを読んだという。
(※編集部注 箱根駅伝のトップ10校は、翌年の予選が免除される)
「予選会直前でコロナになってしまった選手が何人かいて、なかなか調子があがらなかったようです。選手たちの箱根駅伝本選への意気込みで『コロナ明けでなかなか体力が持たなかったりしたから、この箱根駅伝は本気でいきたい』というコメントを見かけたので、そこに注目したいです」
東京マラソン出場予定。ザーボンさんが「部下」から「先生」へ
シャケーザさんは3月、東京マラソンに出場する。
人生初のマラソンに応募しようと決めたのは、箱根駅伝の影響だという。
「選手たちに向けての沿道応援や応援配信ではありますが、頑張っている選手たちの姿を見て『自分たちも頑張ろう』という気持ちになれるのが素晴らしいことだと思っています」
「箱根駅伝を応援している」と言い続けているが、周りから「1月(箱根駅伝の時期)だけ言っている」などと思われているかもしれないと引け目も感じていた。
それもあって「何かにチャレンジしたい」と思っていたところ、きっかけをくれた箱根駅伝から思い浮かんだのがマラソンだった。
当選の瞬間、自分の身体に目をやり「多分も5キロを走るのもきついんじゃないかぐらいの体型なので、42.195キロは、言葉を選ばなければ死んでしまう...」と震えたという。
身体や体力づくりとしてプールでの水中ウォーキングや、短い距離を走ることから、トレーニングを始めている。
学生時代に陸上部だったジュリパンちゃんも一緒に応募したが落選。コーチ役に回っており「その時は(ザーボンさんは)部下でなく、先生になります」と2人で笑った。