2022年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:9月4日。内容を更新し、一部加筆しました)
東京ディズニーシーは2022年9月4日、開園から21年を迎えた。11月11日からは新たな夜のエンターテイメントプログラム「ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~」が始まり、訪れる人を楽しませている。
2001年に産声をあげた東京ディズニーシー。今では東京ディズニーランドと並ぶ人気のテーマパークに成長し、2024年春には新エリアの開業も控えている。
そんな東京ディズニーシーだが、当初の計画では「海」がテーマではなかったことをご存じだろうか。“冒険とイマジネーションの海”はいかにして誕生したのか。懐かしの写真と共に振り返りながら、エピソードを紹介する。
東京ディズニーシーの21年を振り返る
東京ディズニーシーがオープンしたのは、2001年9月4日。同日に東京ディズニーシー・ホテルミラコスタも開業した。
運営するオリエンタルランドへの取材によると、東京ディズニーシーは東京ディズニーランドと異なり、開園当初からアルコール類を販売。これにより、「お酒が飲めるディズニー」として、子どもだけでなく大人からも支持を広げていった。
1つの大きな「海」を囲むようにして、7つのテーマポートで構成されている東京ディズニーシー。昼と夜に水上で行われる「ハーバーショー」は、開園以来、人気コンテンツとなってきた。
2004年には夜のエンターテイメントプログラム「ブラヴィッシーモ!」の公演を開始(2010年11月に終了)。同ショーはミッキーマウスの出演は序盤と終盤(セリフのみ)で、ディズニーキャラクターは一切出てこないという斬新な構成だった。「火」と「水」という、対照的なものをテーマとした演出も印象的で記憶に残る。
東京ディズニーシーはとりわけ、ハロウィーンやクリスマスシーズンの人気が高い。
ハロウィーンは近年の仮装人気も相まって、パークで様々なディズニーキャラクターの仮装をして楽しむ人が増えた。
一方でクリスマスには煌びやかなイルミネーションの光が園内を包む。かつて2003年から2006年にかけて公演された「キャンドルライト・リフレクションズ」などのプログラムもファンからは当時人気を集めていた。
東京ディズニーシーの思い出として、リピーターからその名が多くあがるのが、2006年から一定期間の休止を経て現在も続く『ビックバンドビート』というショープログラムだ。ブロードウェイ・ミュージックシアターで公演されている。
スウィングジャズを中心としたショーの終盤にはミッキーマウスがドラムを叩き、その流れでタップダンスを披露するというシーンがあり、このショーを目当てに訪れるリピーターも多い。
「初めて見た時にミッキーがドラムを叩く姿は衝撃でした」「来園すると必ず見たいと思うショー」などと、スタートから10年以上経った今でも強いインパクトを残している。
また、魅力的なアトラクションもパークの人気を支えている。開園からの21年で続々と新たなアトラクションが導入されてきた。
開園から10周年にかけては2005年の「レイジングスピリッツ 」を皮切りに、2006年にはタワー・オブ・テラー、2009年にタートル・トークがオープン。
開園から10年が過ぎて以降は、「トイ・ストーリー・マニア!」(2012年)や「ソアリン:ファンタスティック・フライト」(2019年)が新設され、高い人気を誇る。
今後は8番目のテーマポートとなる「ファンタジースプリングス」が2024年春にオープン予定となっていて、開園以来の大規模なリニューアルとなる。
新しいテーマポートはディズニー映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』を題材とした3つのエリアによって構成されていて、オープンに向けた準備が着々と進んでいる。
実は、東京ディズニーシーは“幻”になる可能性があった
オリエンタルランドが公表している沿革資料によると、第2のパークとして初期の段階で検討されていたのは、「ディズニー・ハリウッド・スタジオ・テーマパークat東京ディズニーランド」という、1989年にアメリカのフロリダ州にオープンした「ディズニーMGMスタジオ・ツアー」をモデルとしたテーマパークだった。
しかし、1991年にそのコンセプトが見直されることになり、1992年に打ち出された新たなアイデアこそ、現在の東京ディズニーシーに繋がる「7つの海」という“海”をテーマにしたものだった。
もし仮に、初期の計画が見直されることなく進んでいたとすれば、東京ディズニーシーは“幻”に終わり、存在さえしなかったかもしれないということになる。
「パークは永遠に完成しない」。ウォルト・ディズニーはこう言葉を残している。ファンなら誰もが知る名言だ。今後も進化が続く東京ディズニーシー。「海らしさ」を大切に、心に残る感動を生み出し続けてほしい。